「まつ毛美容液」騒動から学ぶべきこととは。プロが考える損しない化粧品の選びの法則

既にご存じの方も多いと思いますが、「まつ毛美容液」で目のまわりが腫れるなどの相談が、国民生活センターに相次いで寄せられていると話題になっています。

被害者の中には目がただれてしまったという方もおり、このニュースを知った方は化粧品に恐怖を覚えたと思います。声を大にして言いたいのは、これは決して他人事ではないということ。

たかが化粧品だからといって、間違った使い方や怪しいコスメを使い続けていると、このようなトラブルに巻き込まれる可能性は誰にでもあるのです。

化粧品は原則として

人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容姿を変え、皮膚や毛髪をすこやかに保つなどの目的で身体に塗擦、散布、その他これに類する方法で使用され、人体に対する作用の緩和なもの。

と定義されています。簡単にいうと、「人間が健やかに、自分らしく生きるためのツールであって、薬のように何でも万能に治す効果はないし、あってはいけないよ」という意味です。

ではなぜ、今回のようなトラブルが起きてしまったのか。そして、我々は化粧品とどのように向き合っていけばいいのかを考えていきたいと思います。



化粧品の本当の目的を忘れてはいけない

おそらくほとんどの方が、何かしらの肌悩みを抱えていると思います。どうにか改善しようと、あれやこれやとSNSで情報を集めたり、家族や友人などからの口コミを参考にしたりして、自分の悩みを解決してくれそうな化粧品を買う人は少なくありません。

ですが、美容に携わる者として言いたいことは「化粧品はあくまで嗜好品である」ということ。香りを楽しんでリフレッシュする、外見をちょっと良く見せるといったプラスαの要素にすぎないのです。

僕が考える化粧品選びで重要なのは「自分が納得しているか」ということ。いくら成分がよくても、肌質に合わなかったり、使っていて心地よくなかったりしては、楽しみが減り、満足感を得ることができません。

そういった心の充足感を得るためには、「自分の肌に合うもの」を選ぶ目を養うことが大切です。

化粧品はオーガニックであろうと、無添加であろうと「化学物質の固まり」です。基本的に安全な成分を、安全な量しか配合してはいけないことになっていますが、人の肌質は十人十色。まれにアレルギー反応を起こす方もいます。

化粧品は実際に手にとって使ってみるのが一番。自分はどう思ったのか、肌でどう感じたのかなど直感を信じることもまた化粧品の楽しみ方であり、本来の姿なのではないかと僕は思います。

あやしい化粧品から身を守るためには

世の中には数え切れないほどの化粧品で溢れていますが、美容のプロとして言わせてもらうと「これ、本当に大丈夫なの?」と目を疑いたくなるようなものもたくさんあるのが現状です。

そういった質の悪い化粧品を作る側に問題があるのはいうまでもありません。悪質な商売から身を守るためにも我々は「物事の本質を見極める力」を身につけていくべきです。

まずは「誰が」作っているかを知りましょう。同じお金を払って買うなら、信頼できるところから買った方がいいのは当たり前のことです。その化粧品がどんな思いで作られているのか、化粧品の知識についてどれくらい知っているのか、会社のホームページや製品情報を見れば、熱量や力量はわかります。

次に「言葉」です。一見、論理的に成立しているように見える売り文句でも、よく考えたらおかしいと思うものは多くあります。例えば、「本を読まない若者が多いため、若者の活字離れが深刻である」という一文があったとしましょう。

文章として成立しているように見えても、今はSNSやたくさんのネット記事が出回っており、むしろ活字に触れる機会は相当多い時代です。だから活字離れはしていないという見方もできます。

騙されないために「これは本当なのか?」という疑いの目を持つことを心がけておくことも必要です。

最後は「自分の価値観を育てる」ことです。SNSの書き込みや口コミばかりに左右されては、正しい判断をすることは困難になります。自分はこう思う、という意見を常に持つことで、それを覆すような意見がでてきたときに「どうしてだ?」と反論することができるようになるからです。

それには好奇心を持つことが大切。謙虚な姿勢で、常に知りたい心を持っておくことが自分の視野を広げることにつながります。

本当にいい化粧品とは?

「いい化粧品」は一人一人違うのが当たり前。たとえ肌質が似ていたとしても、化粧品に対して求めているものが同じとは限りません。

眺めているときが一番幸せに感じるからパッケージや容器に重点を置いている方もいれば、使った時の爽快感がたまらなく好きだから、清涼感を大切にしている方もいます。

「本当にいい化粧品」とは自分の心を満たし、自分の肌が本当に求めているものを知ることだと僕は思います。

あなたにとっての化粧品は何でしょうか。

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