
何事もそつなくこなし、平均以上の成果をいとも簡単にあげる「器用貧乏」。人には得手不得手があり、真似しようにもそう上手くはいきません。
にもかかわらず「貧乏」と呼ばれてしまうのはなぜでしょう?
実は僕も昔からその口で、自分でいうのもなんですが、かなり飲み込みが早いほうです。初めてのことでも必ず合格点出せる自負があります。
けれど、一般的には何事も中途半端で大成しないとか、便利屋で終わるとかといわれており、コンプレックスに感じている人も多いのではないでしょうか?
そこで器用貧乏がどうしたら損をしないのか、器用貧乏が成功するために必要なことについて心理学的に分析してみたいと思います。
パーソナリティは尺度で捉えるもの
よく「あなたは、几帳面なタイプですね」「あなたの性格は恋愛に向いていないタイプのようです」といった占いや心理テストがあると思います。
ですが、性格はそう単純な良し悪しで判断できたり、カテゴライズできるものではありません。
人間関係に悩む人が多いのが何よりの証拠ではないでしょうか?白黒はっきりつけられて、わかりやすく理解できるなら悩む人なんていないわけですから。
血液型占いが人気を博した理由
今でこそあまり話を聞かなくなりましたが、一時はテレビ番組で毎日のように放送されたり、雑誌でも度々目にする機会がありました。
血液型占いの人気が爆発した理由は、単純にわかりやすかったからだと思います。
一見多くの人に当てはまるような内容でも、いざ結果を突きつけられると「これはまさに私のことだ!」と魔法をかけられたかのように信じてしまう。
そして、その診断結果があたかも自分の特徴だと思いこんでしまうのです。些細なことかもしれませんが、これって実はけっこう危険なことなんです。
貧乏だと思うほど貧乏になる
よくやる気を出したいときや気分が落ち込んだときに「自分はできる!」「私はダメじゃない!」といった自己暗示をかけることがありますよね。
自己暗示はモチベーションを上げたり、物事を習慣化するときに大いに役立つことがわかっていますが、実は使い方を間違えると悪い方にも転じてしまうのです。
たとえば「自分は器用貧乏だ」と思っている人がいたとします。「貧乏」と付いているだけですごくネガティブに聞こえて、短所に感じる人がほとんどでしょう。
これを長期的に思い込んでしまうと自己肯定感が下がり、自信を失ってしまう可能性があるわけです。これでは成長も見込めません。つまり、本当に貧乏で終わってしまうのです。
「器用」にも尺度があると理解する
最初にパーソナリティは尺度で理解することが大切と言いましたが、器用貧乏も同じです。
一言に器用貧乏といっても能力はみんなバラバラ。その中でも得意不得意があります。だから「貧乏」の一言では片付けることはできません。
じゃあどうすればいいのか。答えはとてもシンプルで、多角的な尺度で捉えればいいだけ。一言に器用貧乏といっても、実はさまざまな尺度によって構成されています。
まずは器用貧乏のポジティブな要素を洗い出してみます。
- 平均より高い学習能力を持っている
- 平均より洞察力が優れている
- 平均より仮説を立てる能力が高い
- 平均より修正力が高い
- 平均より行動的である
続いてネガティブな要素を見てみましょう。
- 平均より持続性が低い
- 平均より衝動的である
- 平均より忍耐が低い
- 平均より軽率である
- 平均より不安感を抱きやすい
こんな具合でしょうか。ポイントは「平均よりも尺度が大きいか小さいか」という点。
「器用貧乏」という一つのパーソナリティを分解すると、これだけの要素からなっていることがお分かりいただけたかと思います。
つまり、すべての性格はコインのように裏表が存在します。大切なのは、パーソナリティにはどんな尺度があり、自分がどの位置にいるのかを客観的に知ること。
では、続いて器用貧乏がどうすれば貧乏から脱却できるのか考えてみましょう。
尺度が大きい能力を伸ばそう
パーソナリティは絶えず変化するもの
まず、大前提として知っておいてほしいのが「パーソナリティは変化するもの」だということ。
私たちはパーソナリティを「型」や「タイプ」といった石膏のように固まった固定的なものとして捉えがちですが、大きくもなれば小さくもなる尺度として認識することで、器用貧乏から器用富豪になれる可能性が生まれるわけです。
つまりは意識次第。まずは、自分には可能性があることを忘れないでください。
嫌なことから目を背けたっていい
日本の教育では、短所をいかに克服するかが重要視されます。ですが、僕の個人的意見からするとおすすめしません。
誰でも自分の嫌な部分と向き合うのは勇気がいること。それなりの労力、エネルギーが必要になります。自己嫌悪に陥ってメンタルが悪化してしまうかもしれません。
そんなことをするくらいなら、自分の長所を伸ばす努力をした方が自己肯定感も上がって遥かに合理的です。
何でも器用にこなせるはずなのに、才能が開花しないという人は器用貧乏を克服しようとしているからかもしれません。
伸びないのは現状に満足しているから
僕も昔そうだったんですが、器用「貧乏」で終わってしまう人は、努力することに抵抗がある人が多い気がします。
努力しなくても合格点を超えられることを知っているから。だから努力する必要もない。おそらく根底にこんな心理あるからではないでしょうか?(過去の僕はありました)
先ほども話したようにどんな性格にもメリット・デメリットは存在します。器用とはいえ、やはり強みに変えるにはそれなりの努力や工夫が必要になります。
器用貧乏を磨くために必要なこと
この答えもめちゃくちゃシンプルで「ひたすら学んで努力する」これしかありません。
僕がこれまで出会ってきた器用だけど貧乏な人は、学ぶことが好きで一応の努力はできるけど、満足するまでが早い人が多いような気がしています。
満足の限界点が低かったり、現状で満足をしてしまうと成長が見込めないのは言うまでもないでしょう。
器用貧乏は本質を掴むのが早く、学ぶ力が高い一面を持っています。にもかかわらず、学ぶことをやめるのは長所を捨てているのと同義です。
武器がなくなったら戦えません。
オールラウンダーを磨くのは楽じゃない
器用貧乏が富豪にのし上がるためには、器用にこなせるレベルを高めていかなければなりません。
それはつまり、単純に人よりも多くのことを追求し、学ぶ必要があるのでどうしても普通の人と比べて苦労は大きくなります。
でも大丈夫。なぜなら、私たちには器用にこなせる能力があるのだから。その能力をどうすればもっと活かせるのかを考えることが大切です。
それに世の中の成功者と呼ばれる人は、皆普通の人がしないような苦労を乗り越えて成功を掴んでいます。
そう考えれば、少しは心が軽くなりませんか?
まとめ:器用貧乏は損ではない
ここまでの話をまとめてみます。
- パーソナリティは「型」ではなく、尺度で捉える
- 器用貧乏は複数の尺度から構成されていることに気づこう
- パーソナリティは絶えず変化するもの
- 自分の立ち位置を把握して、強みを伸ばそう
- 器用な貧乏人は誰もが富豪になれるチャンスを持っている
器用貧乏は決して短所なんかではありません。
捉え方、考え方によってイチローさんや大谷翔平選手のような最強のオールラウンダーになれる可能性を秘めていることを忘れないでください。