その選び方で大丈夫?成分買いする人が陥りやすい7つの落とし穴

EBATO

EBATO

こんにちは、メンズ美容家のEBATOです。
本記事では、「成分選び」と上手に付き合うための方法をわかりやすく解説します。

  • 「毛穴が気になるならビタミンC」
  • 「ハリ不足にはレチノール」
  • 「この美容液にはナイアシンアミドが入っている」

最近では、SNSや美容メディアを通じて“優秀”と呼ばれる化粧品の成分を目にする機会が増えました。

何となく選ぶのではなく、自分の肌悩みに合わせて成分から化粧品を選ぶ。確かに合理的かつメリットの多い選択です。

一方で、成分に詳しくなればなるほど「成分選び重視」に偏りむしろ視野が狭くなり、自分に合う必要なコスメと出会いにくくなる可能性があると僕は考えています。

では成分選びを上手に使いこなすには、どうすればいいのでしょうか。

元美容部員、コスメコンシェルジュ、そして化粧品成分スペシャリストの視点から深堀りしてみたいと思います。

本記事の要約
  1. 成分を見ること自体は、化粧品を選ぶうえでメリットになる
  2. 美容成分だけでなく、基剤・処方設計・使用感までを含めて見る大局観が大切
  3. 「高濃度=優れている」とは限らない
  4. 悩みごとにアイテムを足す前に、保湿や今のスキンケアを見直すことが重要
  5. 成分やエビデンスから先に考えるのではなく、今の肌悩みを整理したうえで必要なものを選ぶ

そもそも「成分選び」は本当に正しいのか

結論からいうと、成分を見ること自体はまったく悪いことではありません。

なぜなら、

  • 目的を持った化粧品選びに役立つ
  • 自分の肌に合わない成分が入っていないかを確認できる
  • AかBで迷ったときの一つの判断基準になる

などのメリットがあるからです。

ただし、成分に注目する習慣が強くなりすぎると、別の問題も生まれます。

それは、「話題の成分」ばかりに目を向け、それ以外の成分や技術、処方設計といった別の視点に目が向かなくなること。

レチノール、ビタミンC、ナイアシンアミド、セラミド。

こうした知名度の高い成分は、商品の特徴を理解するうえでわかりやすい指標になります。ですが、化粧品はそれらの成分のみでできているわけではありません。

ですから、化粧品はいろいろな視点から見ることが大切です。

ネットの情報は良くも悪くも、わかりやすさが好まれる傾向にあります。よく見聞きする成分というだけで「これを選べば大丈夫だろう」「流行ってるんだから効果があるはず」といった思考になりやすいわけです。

各メーカーが長い年月をかけ、試行錯誤の末につくり上げたものを、一つの成分や「良い・悪い」の二元論だけで評価するのは、いささか乱暴ではないかと僕は思います。

EBATO

EBATO

では、次に成分選び偏重になることで、どんなデメリットが生じるのかを考えてみたいと思います。

成分買いする人が陥りやすい7つの落とし穴

落とし穴1:「成分=製品のすべて」だと思ってしまう

成分選びで最初に気をつけたいのが、トレンドの美容成分だけを見て、化粧品全体を評価してしまうことです。

「レチノール配合」「ビタミンC配合」と聞いて、その成分が商品の価値を決めてはいませんか?

化粧品は一つの成分だけでできているわけではありません。ベースとなる基剤や、ほかの成分との組み合わせ、安定化技術、pHなど、さまざまな要素が組み合わさって一つの製品がつくられています。

成分は「食材」にすぎない

化粧品の処方は、よく料理にたとえられます。

レチノールやビタミンCといった美容成分は、料理でいうところの「食材」の一つだと考えるとわかりやすいでしょう。

食材を見れば確かに肉料理なのか、魚料理なのか、それ以外なのか、くらいを知ることはできます。ですが、実際においしいと感じるかどうかは、一緒に使う食材や調理方法、味付け、火加減、そして食べる人の好みまで含めて決まりますよね。

それは化粧品も同じことなのです。成分を知ることは大切ですが、実際の使い心地や肌との相性、どんな技術が使われているのかなど大局観を持って選ぶことが大切です。

「自分が心地よく使えるか」も大切

化粧品は毎日使うものです。どれだけ話題の成分が入っていても、

  • ベタつきが気になる
  • 香りが苦手
  • 肌になじむまで時間がかかる
  • 毎日使うには価格が高すぎる

と感じるのであれば、あなたにとって最適な化粧品とは言いにくいでしょう。

成分や処方を確認したうえで、「自分が毎日使いたいと思うか」という視点も必要です。

成分を知り、処方全体を見て、最後は自分の肌と好みで選ぶ。

このくらいの距離感で成分知識を使うと、化粧品選びの幅はぐっと広がるはずです。

落とし穴2:「高濃度ほど効果が高い」と考えてしまう

成分選びが広がるにつれて、よく目にするようになったのが、

「レチノール○%」
「ビタミンC○%」

といった成分の配合濃度を前面に出した製品です。

数字が大きいほど効果がありそうに見えるため、つい「高濃度=高性能」と考えたくなるかもしれません。

しかし、濃度だけで化粧品の優劣を決めることはできません。

化粧品の性質は、配合濃度だけで決まるものではなく、成分そのものの性質や基剤、ほかの成分との組み合わせ、処方設計、肌の状態など、さまざまな要素が関係します。

特にレチノールのようなパワフルな作用を持つ成分は、使い方を守らないと肌トラブルにつながる可能性もあるため、注意が必要です。

そのため、「高濃度だから優れている」と単純に判断するのではなく、濃度は製品を見るための一つの情報として捉えることが大切です。

美容家のひとこと

EBATO

EBATO

「○%配合」のような数字は、商品の違いがひと目でわかるので、とても魅力的に見える反面、基準にしてしまいやすい情報でもあります。濃度は“答え”ではなく、その製品を理解するためのヒントの一つくらいに考えておくのがベターです。

落とし穴3:「足し算のスキンケア」になってしまう

成分を覚えていくと、スキンケアはどんどん楽しくなりますよね。ところが、ここにも罠があります。

  • 「毛穴にはビタミンC」
  • 「ハリにはレチノール」
  • 「角質ケアにはAHA」
  • 「皮脂にはBHA」

というように、悩みごとにアイテムを追加しているうちに、いつの間にか化粧水や美容液が何本にも増えていないでしょうか。

「攻めの成分」を増やす前にやるべきこと

いろいろな化粧品を使えば、それだけ高い効果が期待できると思うかもしれません。実際に僕が美容部員だった頃も同じような質問をたくさんされた経験があります。

ですが、いつも僕がお客様へお伝えしていたのは、たった一つだけ。それはスキンケアの基本は「保湿」ですよ、ということ。

何事も基本なくして応用はありません。攻めの美容成分を効果的に使うためにも、肌の土台すなわち「きちんと保湿できているか」が重要です。

肌のもっとも外側にある角層には、水分を保ち、外部刺激から肌を守る「バリア機能」があります。

乾燥などによってバリア機能が低下している状態で、「もっと毛穴ケアをしよう」「さらに角質ケアを足そう」とアイテムを増やしてしまえば、思うような結果につながらないどころか、かえって肌への負担を増やしてしまうこともあります。

「足す」だけでなく「引く」という選択肢を持つ

足し算のスキンケアには、もう一つ注意したいことがあります。

それは、肌トラブルが起きたときに原因を特定しにくくなることです。

成分について詳しくなるほど「何を使うか」に意識が向きますが、スキンケアでは何をどのくらい使っているのかを把握できるシンプルさも大切です。

スキンケアはアイテム数が多ければいいというわけではありません。必要なものを見極めて、使わなくていいものを減らす判断も必要です。

新しい化粧品を足したくなったら、その前に「使用順は適切か」「適量を使えているか」「正しい使い方をできているか」など今使っているアイテムで改善できることがないかを振り返ってみましょう。

美容家のひとこと

EBATO

EBATO

化粧品の使用方法や推奨量は、基本的に化粧品の容器やパッケージに記載されています。記載がない場合は、化粧水なら100円玉大~500円玉大、乳液&クリームなら10円玉大(プッシュタイプなら1プッシュ)が目安です。

落とし穴4:「今の肌」より「話題の成分」を優先してしまう

化粧品を探すとき、あなたは最初に何を基準にしているでしょうか。

気になる成分やSNSで話題になっている成分があればつい試してみたくなる気持ちはわかります。ですが、ここで一度考えてほしいのが、「その成分は今の自分の肌に本当に必要なのか」ということです。

本来、スキンケアの出発点になるのは成分ではなく、「今、どんな肌悩みを抱えているのか」を整理することのほうが重要です。

話題の成分が自分の肌に合うとは限らない

肌は季節や湿度、紫外線、シェービング、日々のスキンケアなど、さまざまな影響を受けることでゆらぎます。

たとえば、

  • 最近いつもより乾燥する
  • 洗顔後につっぱりやすい
  • ヒリつきを感じることがある
  • 赤みが出ている

といった状態なら、話題の美容成分を新しく取り入れるよりも、まず今のケアを見直したほうがいい場合もあります。

ところが、成分が先に頭に入っていると、「レチノールを使ってみたい」「ビタミンCを取り入れたい」という気持ちが先行し、今の肌に本当に必要かを考える前に、“足し算のスキンケア”になりがちです。

人の肌は千差万別です。話題になっているからといって、自分の肌に必要であるかは別の話です。

「成分から悩みを探す」のではなく「悩みから成分を探す」

化粧品選びでは、「何を使うか」よりも「なぜそれを使うのか」を考えるほうが大切です。

最初に成分を決めてから「これで何かケアできないかな」と考えるのではなく、今の肌を観察する → 気になる悩みを整理する → それに合う成分を探すという順番で考えてみましょう。

たとえば、毛穴が気になる場合でも、皮脂によるものなのか、乾燥によって目立っているのかなど、状態によってアプローチは変わります。

「毛穴=この成分」と一つの答えに当てはめるより、まず肌で何が起きているのかを考えることが、化粧品選びのスタート地点です。

美容家のひとこと

EBATO

EBATO

話題の成分を見つけてもすぐに飛びつくのではなく、まず日々のスキンケアで改善できることはないかを振り返りましょう。そのうえで「今の肌にこれを使う理由があるか」を考えてみてください。成分を知ること以上に、思わぬ気づきがあるはずです。

落とし穴5:エビデンスだけで「製品の実力」を判断してしまう

成分について調べていると、「この成分は論文で効果が確認されている」「科学的根拠がある」といった情報を目にすることがあります。

エビデンスの有無を確かめることを否定するつもりはありません。ですが、成分単体の研究結果と、その成分を配合した市販製品の実力が必ずしもイコールでないことも知っておく必要があります。

全成分表示を見ても「配合量」まではわからない

日本の化粧品は、原則として配合量の多い順に成分が表示されています。

そのため、

  • 「上のほうに書いてあるからたくさん入っているに違いない!」
  • 「後ろのほうだから意味がないんじゃないか……」

と考えたくなる人は多いでしょう。

ところが、配合量が1%以下の成分は順不同で表示することが認められています。 (厚生労働省⁠)

つまり、全成分表示だけを見て、「この美容成分○%くらい入っていそう」と判断するのは一般消費者の私たちにとって容易なことではないのです。

また、配合量が少ないからといって、その成分に意味がないとも限りません。化粧品には、それぞれの役割に応じて適した量が配合されています。

全成分表示は製品を知るためのヒントではあっても、処方をすべて読み解ける「レシピ」ではないことを留意しておく必要があります。

美容家のひとこと

EBATO

EBATO

化粧品は医薬品ではなく、嗜好品です。過度な期待はせず、美容成分だけにとらわれないことが大切です。技術や使い心地、香り、世界観などさまざまな視点から楽しみましょう!

「成分にエビデンスがある」と「この商品に効果がある」は別

もう一つ注意したいのが、成分についての研究結果の受け取り方です。

最近では、AIの発達によって皮膚や美容成分に関する研究論文も簡単に調べられるようになりました。ですが、エビデンスも使い方を間違えれば落とし穴になります。

研究にもさまざまありますが、

  • どの成分・原料を使ったのか
  • どのくらいの濃度なのか
  • どのような処方なのか
  • どんな人を対象にしたのか
  • どのくらいの期間使用したのか

など、一定の条件が決められています。

同じ「ナイアシンアミド配合」「レチノール配合」と書かれた市販品でも、その研究とまったく同じ条件でつくられているとは限りません。実際、成分の皮膚への届け方についても、処方設計が重要な要素になることが研究されています。 (PubMed⁠)

そのため、「この成分にはエビデンスがある」=「この成分が入った商品なら、すべて同じ結果が期待できる」と考えるのではなく、市販製品とは分けて考えることが大切です。

美容家のひとこと

EBATO

EBATO

成分表や論文を読むこと以上に大切なのは、「そこから何がわかって、何がわからないのか」を区別することです。知識が増えるほど、あえて断定しない視点も持っておきたいところですね。

まとめ|成分は「答え」ではなく、化粧品選びの手がかり

成分を知ることは、自分に合う化粧品を選ぶうえで大きなメリットになります。

ただし、成分名や濃度、話題性だけで判断せず、今の肌状態や処方全体、使い心地まで含めて考えることが大切です。

成分はあくまで選択肢を広げるための手がかり。最後は、あなた自身の肌に耳を傾け、自分なりの基準で選んでみましょう。


参考文献

厚生労働省Webサイト

日本化粧品工業会Webサイト

北海道科学大学「レチノールとは?期待できる効果やポイント・注意点」

資生堂「肌のバリア機能|皮ふ科医に聞く ミニ知識」

Otto A, du Plessis J, Wiechers JW. Formulation effects of topical emulsions on transdermal and dermal delivery. International Journal of Cosmetic Science. 2009;31(1):1-19.

Temova Rakuša Ž, Škufca P, Kristl A, Roškar R. Retinoid stability and degradation kinetics in commercial cosmetic products. Journal of Cosmetic Dermatology. 2021;20(7):2350-2358.

Do LHD, Law RM, Maibach HI. Dose response effect of chemical surface concentration on percutaneous penetration in human: In vivo + in vitro. Regulatory Toxicology and Pharmacology. 2022;132:105186.

Ong RR, Goh CF. Niacinamide: a review on dermal delivery strategies and clinical evidence. Drug Delivery and Translational Research. 2024;14(12):3512-3548.

日本化粧品検定 準2級・3級対策テキスト コスメの教科書(日本化粧品検定協会® )

日本化粧品検定 2級対策テキスト コスメの教科書(日本化粧品検定協会® )

日本化粧品検定 1級対策テキスト コスメの教科書(日本化粧品検定協会® )

「私に本当に合う化粧品」の選び方事典(小西さやか)

化粧品成分ガイド 第7版(宇山 侊男、岡部 美代治、久光 一誠)

美肌成分事典(かずのすけ、白野実)

WRITERこの記事の著者

EBATO

EBATO メンズ美容家

1987年・千葉県出身。ITエンジニアから未経験の美容業界に転身し、大手化粧品メーカーにて美容部員として3年間従事。1万人以上の肌悩みと真摯に向き合い、一人ひとりに合った美容法の提案を行う。美容家として独立後、メンズ専門美容ブログ「Men's Beauty Design Lab」を開設。300本以上の記事を自ら執筆し、総読者数は10万人を超える。現在はテレビやラジオ、美容誌などの各種メディアに多数出演。執筆や講師業、化粧品・美容ギアのプロデュースなど活動は多岐にわたる。保有資格:日本化粧品検定特級コスメコンシェルジュ、化粧品成分検定1級。受賞歴:第9回コスメコンシェルジュコンテスト金賞。