【プロが解説】紫外線吸収剤は危険?メリデメ・安全性などを本音で語る

「メトキシケイヒ酸エチルヘキシルはどんな成分?」
「メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの危険性は?」
「紫外線吸収剤は良くない?」

紫外線吸収剤として知られるメトキシケイヒ酸エチルヘキシル。

ハワイでは、サンゴ礁に悪影響を及ぼす危険性があることから、この成分が配合された日焼け止めの販売と流通が禁止された一方で、日本では配合量に基準を設けて多くの化粧品に配合されています。

消費者として「安全なもの選びたい」のは当たり前ですし、「結局、何が正しいの?」と疑問に思う方は多いと思います。

そこで今回は、元美容部員のEBATOが、「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」とは何ぞや?から安全性、危険性などについて解説してみます。

 記事の権威性

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メトキシケイヒ酸エチルヘキシルとは

日本で最もポピュラーな日焼け防止剤

メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは、紫外線吸収剤の一つで特に日焼け止めや下地、メイクアップコスメなど幅広い製品に配合されています。

美容家EBATO
米国では「オクチノキサート」という別称で知られています

この成分の主な役割は、UVAとUVBから肌を保護することにあり、特にUVBのブロックに優れていることから日焼けによるダメージを防ぐ効果が期待されます。

その歴史は30年以上と長く、現在の日本国内で販売されている日焼け止めにもよく使用されていることから、最も有名な紫外線吸収剤といえます。

メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの配合目的

先述したように、日焼けから肌を守るのが第一ですが、それだけではありません。

たとえば、この成分は光安定性(紫外線などで劣化しにくい)があるため、化粧品そのものの変色、劣化、変臭などから守るために使われることがあります。

美容家EBATO
化粧品成分の中には、紫外線によって劣化してしまうものがあります

つまりメトキシケイヒ酸エチルヘキシルを配合することで、化粧品の安全性を高めてくれる役割もあるというわけですね。

メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは良くない成分なのか?

結論からいうと、日本国内では配合量が規制されているため、安全に使うことができます。

  • 日焼け止め・ベースメイク:100g中に20gまで
  • アイメイク・リップなど:100g中に8gまで

この配合量はポジティブリストに記載されています。簡単にいえば上記範囲内なら長期間使用しても安全ですよ、というものです。

確かに規制がされている=注意が必要な成分ではあるのは事実です。

やや刺激が強い成分なので、一般的な化粧品が使えないような敏感肌の場合はパッチテストしてから使用するのがいいでしょう。

肌に赤みやかゆみなどのトラブルが起きなければ、使い続けても問題はないと思います。

妊婦さんや子どもでも安全に使える?

メトキシケイヒ酸エチルヘキシルについては、

  • 皮膚から吸収されて体内に蓄積する
  • 母乳から検出された

などの話を聞いて不安に思っている方がいるという話を耳にしたことがあります。

僕も調べてみたところ、確かに検出された事実はあるようです。

がしかし、本当にごく微量だったようで個人的にはバズり目的の誇張表現もあったのかな、というのが率直な感想です。

とはいえ、僅かでも日焼け止めの成分が赤ちゃんにも……と考えると怖くなる方もいらっしゃると思います。

これに関しても恐怖心を煽る巧妙な言葉のトリック(悪意があるかは別として)です。一つ一ひとつ紐解けば、自分が早合点していることに気づくことができるはず。

メトキシケイヒ酸エチルヘキシルだけがそうではないですし、体内に蓄積されたからといって、体を蝕んで病気になるなどの報告はありません。

もっというと、30年以上使われてきた実績からそうならないために規制されていることを鑑みれば……みなまで言わなくてもわかりますよね?

メトキシケイヒ酸エチルヘキシルのメリット

真夏やレジャー時に強い

メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは、レジャー紫外線とも呼ばれるUVBを吸収する力が強い紫外線吸収剤のため、日差しが強い夏場やスポーツ、レジャーなどに向いています。

日焼けで肌が赤くなったり、黒くなったりする原因がUVBなので、シミ・そばかすを絶対に作りたくないという場合にもおすすめです。

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肌への負担が少ない点から「酸化チタン」や「酸化亜鉛」などの紫外線散乱剤を選ぶ人も多いのですが、実は紫外線吸収剤の「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」に比べて効果がマイルドになりやすいという弱点があります

ゆえに日差しを浴びる機会が多いシーンでは、紫外線吸収剤を選択する方が賢明だと個人的には思います。

化粧品成分というのは、人の個性と同じで適材適所なんです。その化粧品のポテンシャルを活かせるかどうかは相性と自分次第というわけです。

散乱剤との併用で相乗効果が得られる

紫外線防止剤には、散乱剤と吸収剤の2種類があり、それぞれに特徴があります。

そもそものメカニズムが異なるので、一概に優劣をつけることはできませんが、散乱剤と吸収剤の両方が配合されたハイブリットタイプの日焼け止めは高い紫外線カット力を発揮します。

僕は常々化粧品成分は、人間関係と似ているなと思うことがあります。この世に完璧な人間がおらず、それぞれに長所と短所がある。

成分も深く理解し、原理原則を正しく知ることで幅広い化粧品選びが可能になるわけです。

特に日焼け止めの成分については、一朝一夕で理解することは難しく、成分一つひとつで見るのではなく、トータルバランスで読み解くことが重要になります。

学びとはけっきょく「急がば回れ」なのです。

メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの環境への影響

ニュースで度々話題になっていたのでご存じの方も多いかもしれませんが、サンゴ礁に悪影響を及ぼす危険性があるとの指摘から2021年1月にハワイでは、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルなどの紫外線吸収剤が配合された日焼け止めの販売、流通が禁止されました。

この傾向は今後広まっていく可能性は十分にあると思いますし、化粧品業界でも紫外線吸収剤の配合量を減らす取り組みや新しい成分の開発にも力を入れていると聞きます。

世界的に環境に配慮した取り組みが積極的に行われているのは、個人的にとても素晴らしいことだと思います。

日進月歩の化粧品業界においても新しいイノベーションが生まれるかもしれません。

我々消費者も日々知識をアップデートし、何が正しいのか、何を信じるのかを考えながら化粧品選びをしていくことを心がけたいものです。

まとめ:賢く選んで美容ライフを楽しもう

今回は、紫外線吸収剤「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」について解説してみました。

化粧品成分は、一つの成分で見るのではなく、長所・短所を正しく知りどんな人に向けて作られたものなのかや、どんなシーンに向いているのかなど広い視座で読み解くことが大切です。

自分の価値基準を大切にしながら、自分にピッタリな最高の化粧品を探してみてくださいね。