遺伝だけじゃない?男性の白髪が増える“見逃しがちな要因”とは

「最近、白髪が急に増えた気がする」
「まだ若いのに白髪が目立つ」
「親も白髪だったから、遺伝だから仕方ないと思っている」

そんな悩みを抱える男性は少なくありません。

確かに白髪は遺伝の影響やストレスなどが指摘されていますが、それだけが原因ではありません。

本記事では、見逃しがちな白髪の原因と対策を、美容の専門家の視点と実体験をもとに詳しく解説します。

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白髪ができるメカニズムとは?

白髪はなぜ生える?

白髪はある日突然現れるように思えますが、実は体内で起きているさまざまな変化が積み重なって起こる現象です。

まずは、髪に色がつく仕組みを理解しておきましょう。

髪の色は「メラニン色素」で決まる

私たちの髪に色をつけているのは、メラニン色素と呼ばれる物質です。

このメラニン色素は、毛根近くにある「メラノサイト(色素形成細胞)」が作り出しています。

メラノサイトは、髪の元になる「毛母細胞」にメラニンを渡すことで、黒髪や茶髪といった自然な髪色が形成されます。

白髪になるのは色素が作られなくなるから

では、なぜ白髪になるのでしょうか?

答えはシンプルで、メラノサイトの働きが弱まると、髪に色素が供給されなくなるためです。

色のない状態で髪が伸びてくると、それが「白髪」として見えるのです。

メラノサイトの働きを弱める主な原因

白髪が増える背景には、以下のような要因が関係していると言われています。

原因①:加齢

年齢を重ねるごとに、メラノサイトの再生能力が低下。

原因②:酸化ストレス

紫外線・大気汚染・喫煙などにより活性酸素が増え、細胞を攻撃。

原因③:血行不良

頭皮の血流が悪くなると、髪の細胞に必要な栄養が届きにくくなる。

原因④:ホルモンバランスの変化

男性ホルモンや成長ホルモンの影響で、頭皮環境が変化する。

ストレスが白髪を加速させるという事実

近年の研究では、慢性的なストレスによって白髪が急激に増えることが明らかになっています。

2020年に発表されたNature誌の研究では、強いストレスが交感神経を過剰に刺激し、メラノサイトのもとになる「幹細胞」が失われてしまうことが確認されました。

つまり、白髪は単なる老化ではなく、日々の生活習慣やメンタルの状態が大きく関与するということです。

白髪のメカニズムを知ることが、対策の第一歩

白髪は年齢のせいだけにとどまりません。メラノサイトの働きを維持するためには、日頃から髪と頭皮の健康を意識した生活が重要です。

遺伝だけじゃない!白髪が増える6つの要因

「白髪は遺伝だから仕方ない」と思っている方は多いと思います。

確かに遺伝的な要素は無視できませんが、実は白髪の増加には後天的な原因が深く関係していることが指摘されています。

ここでは、美容家として多くの男性の悩みと向き合ってきた立場と実体験から、特に見落とされがちな6つの要因について解説します。

①ストレス

ストレスは白髪を加速させる大きな要因のひとつです。

強いストレスを受けると、体内では交感神経が活性化し、メラノサイトの元になる幹細胞が減少することが分かっています。

これは2020年に発表されたNature誌の研究でも示されており、心理的ストレスが白髪の直接的な引き金になる可能性があるとされました。

また、ストレスによって血流が悪化し、毛根への栄養供給が滞ることで、髪の成長環境そのものが悪化する恐れもあります。

②栄養不足

髪はケラチンというタンパク質からできており、その生成にはさまざまな栄養素が必要です。

特に以下の栄養素が不足すると、白髪のリスクが高まると言われています。

  • 亜鉛:毛母細胞の分裂や抗酸化作用に関与
  • ビタミンB群:血行促進や毛根の代謝をサポート
  • 銅:メラニン色素の合成を助ける
  • タンパク質:髪そのものの主成分

偏った食事やコンビニ食中心の生活では、これらの栄養素が慢性的に不足しがちになるので、注意が必要です。

③睡眠不足

髪の健康を支える成長ホルモンは、主に睡眠中に分泌されることが知られています。

特にノンレム睡眠(深い眠り)に入ったときにその分泌がピークに達します。

睡眠不足が続くと、細胞の修復や再生が十分に行われず、メラノサイトの働きが鈍化。また、自律神経の乱れも白髪の原因になる可能性も。

睡眠で重要なのはまず時間です。自分に最適な睡眠時間をしっかりと確保した上で、質を高める工夫をすることが大切です。

④紫外線ダメージ

顔や腕と同じように、頭皮も紫外線を浴びる部位です。

紫外線を浴びすぎると活性酸素が発生し、メラノサイトや毛根に酸化ダメージを与える可能性があります。

さらに、紫外線は頭皮の乾燥を引き起こし、髪を育てる環境自体を悪化させてしまうため、帽子やUVスプレーによる対策をしておくとよいでしょう。

⑤喫煙・過度な飲酒

喫煙は血管を収縮させるため、頭皮の血流が悪くなり、髪に必要な栄養が届きにくくなります。

また、タバコの煙に含まれる有害物質は、メラノサイトにダメージを与える可能性も。

さらに過度な飲酒は亜鉛など重要な栄養素の吸収を妨げることがあり、髪の成長に悪影響を及ぼします。

⑥ホルモンバランスの乱れ

男性でも40代以降になると、ホルモンバランスに変化が生じます。

男性ホルモン(テストステロン)の分泌が低下したり、ストレスによってホルモンのバランスが崩れると、毛根の働きにも影響が出やすくなります。

また、成長ホルモンや副腎皮質ホルモンの変動も、白髪や抜け毛に関与しているという指摘もあります。

白髪のリスクを高める男性特有の生活習慣

白髪の原因が生活習慣にあるとはいえ、日々忙しく過ごす中で、どこに注意を向ければいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

特に男性の場合、仕事や食生活、休息の取り方に偏りが出やすい傾向があり、それが白髪のリスクを高めることにもつながっている可能性があります。

ここでは、男性に多い「白髪を進行させる生活パターン」について解説します。

コンビニ食・外食中心の食生活

忙しい毎日を過ごす中で、食事をコンビニ弁当や外食に頼る男性は少なくありません。

しかし、これらの食事には以下のような特徴があります。

  • 栄養バランスが偏りやすい(特にビタミン・ミネラル・食物繊維が不足)
  • 添加物や過剰な塩分・脂質が多い
  • タンパク質や亜鉛、ビタミンB群など髪の成長に必要な栄養素が不足しがち

これらの習慣が続くと頭皮や毛根の健康が損なわれ、メラノサイトの働きも鈍化してしまう可能性かもしれません。

長時間労働と慢性的なストレス

男性に多い働き方として、長時間労働や高ストレス環境が挙げられます。

ストレスは自律神経を乱し、血流を悪化させるため、白髪を促進する要因の一つになり得ます。

また、ストレスによって睡眠の質も低下し、成長ホルモンの分泌が妨げられることで、毛根の回復力も落ちてしまいます。

「なんとなく疲れが取れない」「眠りが浅い」と感じている方は、知らず知らずのうちに白髪のリスクを高めている可能性があります。

睡眠不足と夜型生活

夜遅くまでスマホやPCを使っている、帰宅が遅く睡眠時間が短い──そんな生活習慣も、白髪を増やす要因になる場合も。

髪の成長や細胞修復を促す成長ホルモンは、主に深夜の眠り(22時〜2時)に分泌されます。

睡眠不足や睡眠の質の低下によって、メラノサイトの再生が追いつかず、白髪が増える原因になる可能性があります。

運動不足と代謝の低下

デスクワーク中心の仕事や年齢による運動量の減少により、血流が悪くなりがちな男性は多く見られます。

血行不良になると、毛根やメラノサイトに必要な栄養が届きにくくなり、頭皮の代謝や細胞の働きが低下。その結果、白髪の発生リスクが高まるかもしれません。

軽い運動でも良いので、血流を促進する習慣を意識して取り入れることが大切です。

白髪予防のためにできること

白髪は完全に防げるものではないというのが現実です。

しかし、これまでご紹介したように、後天的な原因が関わっている以上、日々の習慣を見直すことが大切です。

①食生活の見直し:髪と頭皮の土台を整える

白髪を予防するためには、メラノサイトや毛母細胞の働きをサポートする栄養素をしっかり摂ることが大切です。

特に意識したいのは以下の栄養素と食材です

  • タンパク質(髪の主成分)…肉・魚・卵・大豆製品
  • ビタミンB群(代謝・血行促進)…豚肉、玄米、納豆、卵
  • 亜鉛(細胞分裂・抗酸化)…牡蠣、レバー、カシューナッツ
  • 銅(メラニン生成)…ごま、レバー、ナッツ類
  • 鉄分(血流改善)…赤身肉、ほうれん草、あさり

コンビニや外食が多い方でも、できるだけバランスを意識して「プラス1品」で調整することから始めましょう。

②ストレスケア:メラノサイトを守るために

ストレスは、白髪だけでなく肌や内臓機能にも悪影響を与えるため、日々のケアが非常に重要です。

以下のようなリフレッシュ法を習慣化すると、自律神経のバランスを整えることができます。

  • 湯船に10〜15分ゆっくり浸かる
  • 軽い有酸素運動やウォーキングを取り入れる
  • 音楽やアロマ、読書など“思考を手放す時間”をつくる
  • 呼吸法・瞑想・マインドフルネスなどのメンタルケア

「ストレスをなくす」ことは難しくても、「うまく逃がす」ことは習慣次第で可能です。ぜひできる範囲で取り入れてみてください。

③質の高い睡眠:夜の修復力を最大限に

髪の成長や頭皮環境を整える意味でも質の高い睡眠は重要です。

髪の細胞を修復する成長ホルモンは、眠り始めの90分に最も多く分泌されるといわれています。

質の良い睡眠をとるためのポイント

  • 就寝1〜2時間前の入浴(38〜40℃のお湯に10分程度)
  • 寝る前のスマホやパソコンの使用を控える
  • 寝室の光や音、温度環境を見直す
  • 毎日同じ時間に寝起きする習慣をつける

生活が不規則になりやすい方でも、「毎日できそうな1つ」から始めることが継続のコツです。

快眠についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

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紫外線対策:見落とされがちな頭皮の日焼け

髪や頭皮も肌と同じく、紫外線のダメージを受ける部位です。

紫外線はメラノサイトを酸化させるだけでなく、頭皮を乾燥・老化させる原因になります。

紫外線と白髪の因果関係は今のところはっきりとはわかってないものの、ダメージを受けることには変わりないので、対策しておいて損はありません。

外出時には帽子や日傘を活用するなど、特に春〜夏にかけては、髪も紫外線ケアが必要と心得ておきましょう。

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頭皮マッサージ:血流を促し、毛根を元気に

頭皮マッサージは、血行を促進し、毛根へ栄養をしっかり届けるための有効な手段です。

毎日のシャンプー時に1〜2分取り入れるだけでも効果が期待できます。

簡単なマッサージ方法

  • 指の腹で、こめかみ・耳上・頭頂部を円を描くようにマッサージ
  • 頭皮を“動かす”イメージでゆっくり行う
  • 呼吸を整えながら行うと、リラックス効果もアップ

継続することで、白髪の予防だけでなく、髪のハリやコシ、顔色の改善にもつながります。

まとめ:白髪を増やさないためには日常を見直すことが大切

「白髪=年齢や遺伝のせい」と諦めてしまう前に、自分の生活習慣に目を向けることがとても大切です。

確かに遺伝的な影響はあるものの、白髪の発生や進行には、ストレス・睡眠・食事・紫外線・ホルモンバランスといった日常のあらゆる要素が関わっています。

白髪対策として取り組む生活習慣の改善は、髪だけでなく肌や体の健康、そして心にも良い影響を与える副産物でもあります。

髪にもいい生活は、肌にもいい生活

たとえば…

 栄養バランスの整った食事は、髪の成長を支えるだけでなく、肌のハリや透明感も高めてくれる。

 質の高い睡眠は、メラノサイトを守るだけでなく、肌のターンオーバーや精神的な安定にも効果的。

 ストレスを減らすことは、髪・肌・体のあらゆるパフォーマンスを引き上げる。

これらはすべて、あなた自身の外見と内面の“若さ”を保つためのベースとなるものです。

白髪ケアは“将来の自分”への投資

白髪をきっかけに、生活を少しずつ整えていくことは、今だけでなく未来の自分にも確実に返ってきます。

「白髪が気になってきた」その気づきこそが、自分を大切にするチャンスです。

完璧を目指さなくても構いません。小さな習慣の見直しを、今日から少しずつ始めてみてください。


参考文献

厚生労働省|e‑ヘルスネット(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/)

スキンケア大学|白髪のメカニズムを科学で解明!正しく理解し予防しよう(https://www.skincare-univ.com/article/003870)

スキンケア大学|すぐできる白髪を改善するポイント(https://www.skincare-univ.com/article/003872)

花王|髪の知識(https://www.kao.com/jp/haircare/hair/)

hoyu|白髪の原因は?5大要因を研究員が解説(https://www.hoyu.co.jp/licolo/category/hair-care/2143.html)

大正製薬|白髪ケア COLUMN(https://brand.taisho.co.jp/blackwolf/shiraga-column/001/

Zhang B, Shi W, Yoshida S, et al. Stress‑induced hair greying caused by melanocyte stem cell depletion. Nature. 2020;577(7792):676–681.

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