薄毛の原因は男性ホルモンや遺伝的要因などさまざまなありますが、実は生活習慣も大きく関係しています。
そのうちの一つが食生活。なぜなら毛髪は血液から栄養を補給し、細胞が活発に分裂することで形成されていくからです。
実際に薄毛と食生活の相関関係を調べたデータでは、薄毛でない人のほとんどは栄養バランスのいい食事を摂っていることがわかっています。
とはいえ、具体的にどんな食べ物が薄毛対策になるのかイメージしづらいでしょう。そこで、髪が育つメカニズムから必要な栄養素や摂るべき食べ物をご紹介します。
「最近、毛が薄くなってきた気がする」「将来、髪で悩みたくない」という人は、ぜひ参考にしてみてください。
記事の権威性
そもそも髪は何からできている?
「栄養バランスがとれた食事をしてください」と聞くと、主食や主菜、副菜……何品も食べないといけないのかと思う人は多いと思います。
ですが、安心してください。「健康な髪を育てる」ということだけを考えれば、毎食何種類ものおかずを用意する必要はありません。
そのためには、まず髪の元となる成分を知ることが大切。結論からいうと、毛髪の主成分は「ケラチンタンパク質」です。
(出典:日本化粧品検定1級 対策テキスト コスメの教科書、小西さやか著)
ケラチンは、18種類のアミノ酸が結合してできており、髪以外にも爪や皮膚を形成している成分でもあります。そして、ケラチンには「シスチン」という必須アミノ酸が含まれていることも忘れてはなりません。
必須アミノ酸とは、生命維持に必要なアミノ酸のこと。体内で生成することが困難なため、食事で積極的に補う必要がある重要な栄養素です。
もし、ケラチンが不足すると髪にハリやコシが無くなったり、抜け毛の原因につながる恐れもあるので覚えておいてください。
髪に必要な栄養素を知る
髪の主成分「タンパク質」
毛髪のほとんどは、ケラチンタンパク質からできていることは先ほど説明したとおり。となると、良質なタンパク質の摂取がカギを握ることはいうまでもありません。
人間のカラダは約60~70%は水分で出来ていますが、その次に多いのがタンパク質だということがわかっています。つまり、タンパク質は髪だけでなく、生きていく上で欠かせない栄養素の一つなのです。
タンパク質には、大きく分けて2つに分類することができます。
- 動物性タンパク質
- 植物性タンパク質
よく「動物性タンパク質と植物性タンパク質はどちらを摂るべきですか?」という質問を受けますが、結論をいえば「どちらも必要」です。
動物性タンパク質は主に肉や魚、牛乳やたまごなどから摂れるタンパク質のことを指します。最大のメリットは、ズバリ必須アミノ酸を含んでいるところ。
髪にはシスチンという必須アミノ酸が含まれていること、そして必須アミノ酸は体内で生成することができないことを考えると、積極的に摂取したいタンパク質であることがわかります。
一方、植物性タンパク質は動物性タンパク質と比べて、水溶性ビタミンを多く含んでいるのが特徴です。後述しますが、ビタミンも髪を生成するうえで欠かせない栄養素なのです。
つまり、動物性タンパク質と植物性タンパク質では特性が異なるため、バランス良く摂取することが必要になってくるわけです。
タンパク質が含まれるおすすめ食材
動物性タンパク質:牛肉、鶏肉、さんま、たまご、チーズなど
植物性タンパク質:納豆、ごま、落花生など
髪の生成をサポートする「亜鉛」
髪のためにタンパク質を補おうとする人は多いのですが、意外と見落とされる栄養素でもあるのが「亜鉛」。
亜鉛は、タンパク質の合成や細胞の新陳代謝に使われるなど重要な役割を担っています。そのため、毛髪の主成分であるケラチンタンパク質の生成にも欠かせない存在なのです。
しかし、2015年に厚生労働省が行った調査では、若い世代を中心に亜鉛不足の傾向にある人が多いことが明らかになりました。
では、亜鉛が不足するとどんな悪影響があるのでしょうか?
- 髪の成長が阻害され、抜け毛の原因になる
- メラニンが生成されにくくなり、白髪になる
こういった可能性が指摘されています。
忙しいビジネスパーソンは特に栄養バランスが偏りがち。特に亜鉛は意識して摂取しないと不足しがちになるので注意してください。
亜鉛が含まれるおすすめ食材
牡蠣、のり、赤身肉、ごま、そら豆、きなこなど
髪の健康に必要な「3つのビタミン」
髪の成長には、ビタミンも欠かせません。中でも、髪の健康にいいとされるビタミンは次のうちの3つ。
- ビタミンA
- ビタミンB2
- ビタミンE
ビタミンAが不足すると髪が脆くなる
ビタミンAは、主に髪の新陳代謝を促すのに必要な栄養素です。
ゆえに不足すると髪質が細くなったり、髪が抜けやすくなったりすると考えられています。
ただし、過剰摂取すると頭皮の栄養障害を起こす可能性もあるので注意。普通の食生活で過剰になることはありませんが、サプリメントを検討している、愛飲している人は気をつけましょう。
ビタミンAが含まれるおすすめ食材
人参、かぼちゃ、ほうれん草、パセリ、焼海苔、ホタルイカ、しそなど
ビタミンB2は血行促進が期待できる
ビタミンEは、頭皮の新陳代謝を促し、毛細血管を丈夫にすることで髪に栄養を届きやすくする働きがあるといわれています。
血管の約9割は毛細血管が占めているのですが、加齢や紫外線によって老化し、毛が抜ける場合もあるようです。
血管としての機能が衰えると、十分な酸素や栄養が行き届かなくなったり、老廃物が蓄積しやすい原因に。
薄毛予防には、健康な血管を維持することも重要なのです。
ビタミンB2が含まれるおすすめ食材
まぐろ、鶏肉、バナナ、パプリカなど
ビタミンE
ビタミンEが優れている点は、なんといっても抗酸化作用か高いことです。
人間は生まれた瞬間から老化が進んでいくわけですが、カラダはさまざまな生活習慣が起因して酸化します。
髪も例外ではなく、放っておくと細胞の機能が衰えて新しい細胞が作られにくくなってしまうのです。
ビタミンEを摂取することで、髪へ質の高い栄養が送られるようになり、育毛をサポートしてくれる役割があります。
ビタミンEが含まれるおすすめ食材
アボカド、西洋かぼちゃ、ナッツ類など
地中海の人は薄毛が少ない?
ここまで髪にいいとされる栄養素として「タンパク質」「亜鉛」「ビタミン」を挙げてきましたが、実はこれらを効率よく摂れる食事が「地中海料理」なのです。
地中海沿岸諸国に該当するのがギリシャやイタリア、フランス、スペイン、モロッコなど。
彼らの食文化は、古来より魚や野菜、フルーツ、ハーブ、オリーブオイルなどを大量に食べる習慣があり、先ほど挙げた3つの栄養素をまんべんなく摂ることができます。
実際に薄毛でない人は、こうした地中海式の食事を好む傾向にあるというデータも存在しています。
毎日は難しいかもしれませんが、休日の2日間は自炊してみる、外食をイタリアンにするといった工夫をしてみるのもいいかもしれません。
まとめ:髪もカラダも食事から作られる!
いくら薄毛治療をしようが、効果のある育毛剤を使っていても、日常生活が乱れたままではその効果を十分に発揮することは困難でしょう。
髪の成長や頭皮環境を整えるのは、あくまで食事や健康に気遣った日常生活であることをお忘れなく。