「洋服はいつも黒を選びがち」という方以外は読まないでください。
我々は普段、視覚を通して色を見ていると思われがちですが、実は意外な皮膚にも色を認識する力が備わっていることがわかってきました。
つまり、着る服の色の選び方によって若々しさを保ったり、老化を招く原因にもなるということ。皮膚自身が色を識別しているわけですから、アウターやパンツだけでなく、外からは見えていないインナーや下着の色も例外ではありません。
よく大切なプレゼンや商談時などのビジネスシーンや大切な人と過ごすひとときに赤い勝負下着を身につける方がいますが、とても理にかなった行動だといえます。
なぜなら赤には、アドレナリンの分泌を促して気持ちを高める効果があるといわれており、活発的になったり、行動力が上がるという研究結果もあります。
また、赤は膨張色でもあり、自分を大きく見せたいという心理が働くことから、気合いを入れたいときや自分に自信をつけたいシチュエーションなどで無意識に赤を選ぶ人も多いのだとか。かの有名な武田信玄の軍勢も、赤を身にまとった兵が多かったことから士気を高めて相手を威圧していたのではと考えられています。
このように色は人間にさまざまな変化をもたらします。では、なぜ黒を着ると老化してしまうのでしょうか。
皮膚はどのように色を認識する?
色の認知は目の網膜に存在する「オプシン」というタンパク質によって行われています。
桜美林大学の山口創教授によると、オプシンは赤、青、緑の三色の色を捉えることができ、我々はこれによって色を識別することができるのだそうです。
そして最近の研究によって、オプシンが肌にも存在することがわかってきました。肌のオプシンがどのように働いて色を認知しているかはまだ解明されていないとのこと。
しかしながら、ある研究では、目隠しをした状態で赤い紙と青い紙にそれぞれ手をかざし、「どちらが赤か」という質問をしたところ、高い確率で正解を言い当てたそうです。
この実験により皮膚が「赤には温かみ」「青には冷たさ」を感じているのではないかという仮説が生まれたのです。
黒を着ると肌のシワが増える
あなたは「黒」にどのようなイメージを持っているでしょうか。
クールや高級感、洗練、権威、独立心、神秘的など活発というよりは落ち着きや威厳、重厚感のあるイメージを持つ方が多いと思います。
同時に黒には闇、暗い、孤独といったどこか寂しげでネガティブな一面も。実は黒が肌色に与える影響は、どちらかというとネガティブな要素が強いのではという見解もあります。
その根拠を『色の秘密 色彩学入門』(野村順一著、文春文庫)からご紹介しましょう。
野村氏はまだ熟していないトマトを3つ用意し、一つは白い布、2つ目に赤い布、そして3つ目には黒い布を被せて、日光の当たるところに放置してみたそうです。それぞれのトマトは一体どうなったと思いますか?
一定期間後にそれぞれのトマトを確認したところ、白い布のトマトは完熟し、赤い布のトマトは発酵するくらい熟しました。ところが、黒い布のトマトは熟さずにしぼんでしまったそうです。
この実験結果からわかることは、色は純白に近いほど光を透過し、黒に近いほど光を吸収したということ。
太陽光をカットしたということは、幸せホルモンと呼ばれている「セロトニン」の活性化を妨げることに繋がります。黒は白などに比べて生気を感じにくい色。
つまり、黒い服をばかり着ていると、トマトのように肌もしぼみ、シワが増えてしまうのはというのが結論です。
本当に黒はデメリットしかないのか?
確かに太陽光は生きていく上で必要なものですが、この実験では紫外線のことは加味されていません。
ご存知の通り、黒は紫外線の吸収率が一番高いとされているため、黒い日傘や黒い服は紫外線から肌を守るというメリットもあると言えるでしょう。
実際にアラブの女性は、紫外線を防ぐために黒衣をまとっています。彼女たちの肌年齢が実年齢よりも高いのかなどは不明ですが、黒を着ることでデメリットしかないとは言い切れません。
日本には優秀な日焼け止めがありますし、紫外線を通しにくい繊維の洋服もあります。
ですが、今日は気分を上げたい、気合いを入れたいというときに、黒い服をあえてチョイスする必要もないと言えます。
色は皮膚や神経に作用することを理解した上で、シチュエーションに適した色を選んでいくことが大切です。
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