デマに惑わされない正しい情報収集の方法【地頭力を鍛える】

現代ではSNSやネット上で、たくさんの情報に触れる機会が多くなりました。便利な半面、なかにはデマや誤解を招く情報も多く存在しています。

美容界隈では定期的にそういった情報がしばしば拡散されるのを目にします。

「化粧水はほぼ水だから意味がない」
「高級コスメを使うと肌が怠ける」
「界面活性剤や鉱物油は肌に悪い」

そのほとんどはバズり目的で根拠がない、もしくは認識が間違っているケースが多く見受けられます。

特に美容は外見にまつわることなので真剣に悩む人が多く、良くも悪くもビジネスにしやすいコンテンツの一つ。

デマや人に影響されないためには、正しく情報を収集し、リテラシーを高めることが重要です。

本記事では、リテラシーが高い人が実践している情報収集の方法を共有します。

 記事の権威性

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信頼できる情報源を見極める

正しい情報を得るためには、まず「どこで」つまりは情報源が重要になります。

あるSNSコンテンツで発信されている情報の約84%は誤解を招くもの、約31%が間違った情報、約14%が有害な情報だという報告もあるそうです。

この結果を鑑みると、SNSは新商品の情報などをキャッチするのには適している一方で、学習や正しい知識を得る手段としては不向きとも言えます。

それからもう一つ。根拠やエビデンスの信頼度を示すヒエラルキーをご紹介しましょう。一般的に上にいけば行くほど、信頼度が高いとされています。

最上位に位置する「システマティック・レビュー」「メタアナリシス」とは、過去の研究結果をまとめて解析や検証し、さらに検討レビューをされたもの。根拠が多く、データとしての信頼度が高いと言えるわけです。

対して、インフルエンサーなどの主張や意見は最下部に位置します。

参考にする場合は、筋が通っているように聞こえる主張でも情報の精査は行った方が無難です。

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僕もブログを書くときは必ず一次情報を参照し、整合性を確認して書くようにしています

では、我々はどのような情報収集を心がけるべきなのか。ポイントになるのは、公的機関などが公開している「一次情報」と呼ばれる情報です。

公的機関や研究機関のサイト

政府・研究機関や大学が公開しているサイトでは、誰でも簡単に信頼性の高い一次情報を手に入れることができます。

人から見聞きする情報は「二次情報」といいます。Xやインスタ、YouTubeなどの情報もこれにあたります。

わかりやすい言葉やキャッチーな表現に注目してしまいがちですが、第三者の解釈やフィルターを介するので政府・研究機関や大学が公開しているサイト、誤解が生まれやすいのが欠点です。

対して一次情報は、科学的根拠のあるデータや研究結果を基に情報を発信しているため、誤情報が少ないと言えます。

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学びとは「急がば回れ」。苦労して辿り着いた情報は記憶に残りやすく、より深い理解につなげることができます

大手企業のメディア

美容で言えば、大手化粧品メーカーが運営しているウェブサイトも信頼性の高い情報源として利用できます。

ただし、メーカーにはそれぞれの立場や視点があるため、複数のメディアを比較することが重要です。

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何が正しいかを探求するのも間違ってはいませんが、「異なる主張や意見をどれだけ理解できるか」に目を向けると視野が広がります

専門家のブログや論文

学術論文も信頼性の高い情報源といえるでしょう。美容分野では、医学文献が集まる「PubMed」などがよく活用されています。

僕を含めた専門家のブログは、少し注意が必要です。なぜなら、その人がどれくらいリテラシーが高く、正しいを持っているかは判断が難しいからです。

大切なのは、肩書きや目を引くフォロワー数、再生数などに惑わされないこと。

インプットした情報を鵜呑みにせず、「本当にそうなのか?」と“健全な批判精神”を持ち、自分で検証することが情報強者になる近道だと僕は思います。

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情報で最も重要なのは要約や結論ではなく、プロセスです。根拠や前提の誤りがないかなど一つひとつ考えみるとおかしな点に気付くことができるようになります!

複数の情報源を比較・検討する

信頼性の高い情報源を見ることにも落とし穴があります。

僕にも経験があるのですが、一つの情報源だけに頼ってしまうとその情報源が絶対になってしまうというリスクです。

美容に限った話ではありませんが、情報の取捨選択をする過程で自分とは異なる主張や意見を受け入れにくくなってしまうことは、リテラシーを高めるうえでは障害になります。

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美容の世界は日進月歩。今までの常識がある日突然、覆ることも珍しくありません。たとえば、鉱物油やパラベンが肌に悪いなどがあります

真実だったのは昔の話。今は科学技術の進歩により、日本で販売されている化粧品は一定の安全基準が設けられています。ですが、未だに古の情報を信じている人も一定数いるそうです。

そこで重要になるのが、情報の比較・検討です。複数の情報源で行うことで情報の正確性を判断します。

クロスチェックの重要性

同じテーマについて、異なる情報源から情報を集めて比較しましょう。

いま我々が見ているネットを介した情報というのは、個別にカスタマイズされ、自分の好みや思考に近いものしか見えないようになっています。

つまり嫌いなものを見なくて済む反面、価値観や視野が狭くなってしまうリスクがあるわけです。

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異なる視点や立場からの情報を合わせて全体像を把握しましょう

数字や権威のワナに気をつける

「数字=信頼できる」は危険

よく見かける「◯◯大学が明らかにした」や「83%の人に改善が見られた」といった根拠にも注意が必要です。

一見、信頼性の高い根拠のようにも見えますが、数字がいつも正しいとは限りません。重要なのは、その数字に辿り着くまでのプロセスです。

わかりやすく言えば、「83%に妥当性はあるか」という点。たとえば、被験者の集め方に恣意性があるとその根拠の信憑性は低くなりますよね。

ですが、我々の無意識的に「数字=信憑性が高い」という判断に陥りやすいため、注意が必要です。

権威や肩書きは思考停止に陥りやすくなる

権威者やインフルエンサーの言っていることが正しいと思ってしまう心理を「機長症候群」と言います。

機長が誤った判断をしても、下の立場にあたる副操縦士が指摘できずに墜落事故が起こってしまったことが由来だそうです。

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医師や弁護士、実績のある専門家、再生数、フォロワー数が該当します

権威や肩書きばかりに目を向けると「あの人が言っているのだから間違いない」と思考停止に陥る要因にもなりかねません。

「機長症候群」に陥らないためには簡単に鵜呑みにするのではなく、複数の情報源から自分で検討することが大切です。

一部の情報源でしか見られない根拠や情報は、デマの可能性があり、注意が必要です。

情報の信憑性を確認する方法

思考を重ねると「この情報は本当に信じていいのか」とつい迷ってしまうことがあると思います。

そこで情報の信憑性を確認するための具体的な方法を紹介しましょう。あくまで一つの判断基準として考えてもらうのがいいと思います。

出典を確認する

その情報の出どころを必ず確認することが大切です。出典が明記されていない情報は、信憑性が低い可能性があります。

出典が記載してあっても、自分の目できちんと確かめる癖をつけておくとさらにグッドです。

注意していただきたいのが、画像です。百聞は一見にしかずといいますが、今はAIで簡単にフェイク画像をつくれる時代。

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目の前に存在するものが真実とは限らないことを理解しておきましょう

引用されたデータの元を調べる

引用されたデータや統計の元の資料にアクセスして、その内容を確認します。

少しショッキングな事実をお伝えすると、皆さんが耳にしたことがある情報も多くの人が誤認識していることは珍しくないんです。

たとえば「メラビアンの法則」。コミュニケーションを図る際、視覚情報55%、聴覚情報が38%、言語情報7%を占めるというのが一般的な認識だと思います。

この話には続きがあり、「矛盾した状況下でどの情報が優先されるか」というのが実験のポイントになっています。

「メラビアンの法則」とは、困った顔をしながら「大丈夫です」話した場合、非言語である困った顔の視覚情報が優先されやすく、相手はネガティブな印象を持つ割合が高くなる、というのが結論。

このように元のデータ(一次情報)を知ることで、その情報の整合性を見極めることができます。

特に「◯◯さんが言っていた」という情報の整合性を調べるのに非常に有効です。

日付を確認する

情報が古くなっていないかを確認することも大切です。特に美容や科学に関する情報は、日付が古いと現在の状況と異なる場合があります。

極端な例を挙げると、とても論理的で信頼に値しそうな情報だとしても参照元の情報が30年前のものだった、という場合は情報がアップデートされていないか比較・検討の余地があるでしょう。

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こういったケースは珍しくありません。わかりやすい表現やキャッチーなフレーズに安易に飛びつかないことが大切です

バイアスを避けるためのテクニック

資格取得のための勉強や転職、新しい挑戦などをする際に情報収集をすると思います。そんなときに注意したいのが「バイアス」です。偏り、先入観と呼ばれます。

・「あの人が言っているのだから正しいはずだ」
・「本に書いてあったからきっとそうだ」
・「みんなそうしているから」

このように我々のなかには多くのバイアスが存在しています。情報にも同じことが言えます。

わかりやすい例えを挙げると、発信者のバイアスですね。「化粧水は意味がない」「高級コスメはムダ」など白黒はっきりした主張は心地よく感じますが、根拠が偏っているとも考えられるわけです。

こうしたバイアスを避けるためには、「メタ認知(自分の認知や言動を客観的にとらえる力)」を鍛えることが大切です。

自分のバイアスを認識する

まず、自分自身のバイアスを認識することが重要です。自分がどのような立場や視点を持っているのかを理解することで、客観的に情報を評価できます。

多様な情報源を利用する

異なる立場や視点を持つ情報源を利用することで、バイアスを避けることができます。

特に今はネットで情報収集をする人が大半だからこそ、さまざまな視点や考えに触れる意識を持つことが要求されます。

多様な情報源から情報を集めて、バランスの取れた判断をしましょう。

反対意見を検討する

自分の意見と異なる意見にも耳を傾けることが重要です。

自分の価値観に合わないからといって簡単に切り捨てると盲目的になったり、信者になってしまう危険性もあるわけです。

かといって無理に受け入れる必要もありませんが、「この人はなぜその考えに至ったのか」を考える努力はしてみてもいいのではないでしょうか。

反対意見を検討することで、情報の全体像をより深く理解できる機会になるかもしれませんからね。

専門家が実践する情報リテラシーの高め方3つ

情報リテラシーを高めるためには、日ごろのちょっとした意識やトレーニングが必要です。

僕も皆さんに間違った情報をお伝えしないように、情報のインプットには細心の注意を払います。

あくまで一例として、僕が具体的にどんな学びやインプット方法を心がけているのかをご紹介したいと思います。

一次情報を中心に情報収集をする

最初にお伝えしたように、一次情報とは政府や研究機関、大学、学会などが一般公開している情報です。

たとえば、日本皮膚科学会では「男性型脱毛症(AGA)」のガイドラインを一般公開しており、クリニックでのAGA治療もこのエビデンスをもとに行われている信憑性の高い情報源です。

臨床試験のもとにどんな治療法が有効かが段階的に評価されており、これを読むことで自分のケアが正しいかを確認するヒントにもなるので、薄毛や抜け毛に悩んでいる人はチェックしてみてください。

n数が1の誰かの体験談を見聞きするより、はるかに建設的で騙されることもありませんからね。

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毛髪の問題は繊細かつ深刻な悩み。悪徳商法も横行しやすいのでまずは冷静になり、主張や根拠の妥当性を考えてみましょう!

なるべく独学で学ぶ

けっきょくは独学が最強

分からないことや新しいことは、誰かから学ぶという人は多いと思いますが、僕は独学を推奨しています。

実際にスイスの名門大学で検証・実践されている勉強法でもあり、人に教わるより独学の方が300%も学習効率が高くなることがわかっています。

難しい文献を読んだり、分からないことを思考するのはエネルギーがいるし、脳が疲れるかもしれません。

けれど、苦労して手に入れた情報というのは、記憶に定着しやすいので、非常に高いレベルの学びができるわけです。

学びとは「急がば回れ」である

この研究では、「生産性のある失敗」がポイントだと主張しています。どういうことかを端的にまとめてみました。

  • 独学の勉強は答えに至るまで多くの思考が必要になる
  • 正解に辿り着くまでどれだけ「間違い」「失敗」をしたかが重要
  • 生産的な失敗をすることで思考力や創造性が養われる
  • 学びへの理解が深まり、知識として定着しやすい
  • 独学の方が教わるより試験の合格率も高かった

最初は何から手を付けていいか、わからないかもしれません。でも試行錯誤し、自分で答えを導き出すことで頭はどんどん良くなります。

少し厳しいこと言うと「自分には難しい……」と言っていては、いつまで経っても時間やお金、思考、強いてはアイデンティティをも奪われ続ける思考停止の人間のままです。

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それならば「できるようになるには何が必要だろう?」と常日ごろから少しでも考える癖をつけた方が遥かに建設的だと思いませんか

5年後、10年後を見据えての学びをしよう

確かに誰かから学べば、勉強の仕方がわかったり、新しい着想を得られる場合もあるでしょう。ですが、独学でしかたどり着けない唯一無二の境地があるのもまた事実です。

だから僕は同業者のSNSなどは一切見ないですし、新しいこともなるべく独学で勉強するようにしています。試行錯誤をしながらの学びの方が長期的に見て学習効率が高いと僕自身も実感しているからです。

SNSやYouTubeなどはあくまで娯楽としてとらえて、一生使えるような思考と学びを心がけることが、いちばん自分のためになるのではないかと僕は考えています。

“健全な批判精神”を持つ

僕は一つの情報を得たときに、必ず「それは本当だろうか?」と思考するようにしています。

決して相手を疑っているわけではなく、情報に対して盲目的にならないようにするために、あえて一呼吸をおくためのものです。

たとえば「化粧水は意味がない」という主張があったとしましょう。結論を言うと正しいといえない主張なのですが、専門家でなくても考え方を少し工夫をすれば「おかしいかもしれない」と違和感を持つことは可能です。

  • 主張に対しての根拠は何か
  • 根拠に偏りはないか
  • 原理原則は正しいか

など一つひとつ道をたどっていくと、辻褄が合わない箇所に必ず突き当たります。そうなると、主張に対してのおかしいと考えることができるわけですね。

得た情報を鵜呑みにするのではなく、自分で検討することでより理解を深めることができるので、ぜひ挑戦してみてください。

まとめ:学びとは「急がば回れ」

正しい情報収集のやり方を身につけることで、人に影響されず、デマに惑わされずに正確な情報を得ることができます。

信頼できる情報源を見極め、複数の情報源を比較し、情報の信憑性を確認することが重要です。また、バイアスを避けるための鍛錬を心がけることで、あなたの情報リテラシーはぐんぐん高まるでしょう。

日常の思考や視座を少し工夫するだけでも見える世界は少しずつ変わります。時間はかかるかもしれないけど、深い知識と理解はきっとあなたの武器となり、助けになるはずです。