「界面活性剤ってよく聞くけど、実際には何をしているの?」
こんな疑問をお持ちの方は多いと思います。「肌に悪い」と言われることもあれば、「必要な成分」とも言われて混乱してしまいますよね。
実は、界面活性剤はスキンケアや日常生活の中で欠かせない成分です。そこで本記事では、界面活性剤の基礎知識、安全性などを5つのポイントにまとめてわかりやすく解説します。
これを読めば、界面活性剤について正しく理解し、安心して製品を選べるようになりますよ。
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界面活性剤って何?基本を学ぼう
化粧品における界面活性剤は、水と油を混ぜる役割を担っています。
化粧品には、「ベース成分」「美肌成分」「品質保持成分」など配合されている成分全てに意味があるわけですが、その中でも基本となるのが「ベース成分」です。
・油性成分:ワセリン、ミネラルオイル、ホホバ種子油など
・界面活性剤:陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤など
水と油は通常混ざり合いませんが、界面活性剤を加えることで、乳液やクリームなどの製品を均一に混ぜ合わせ、肌に滑らかに塗布できる状態にします。
界面活性剤は、水を引き寄せる親水性と油を引き寄せる親油性の両方の性質を持っているため、この2つの性質が水と油の境界を安定させるわけです。
さらに、界面活性剤には洗浄作用もあり、クレンジングや洗顔料に使われることで、皮膚の汚れや余分な皮脂を取り除く役割も果たします。
しかしながら、洗浄力が強すぎると必要な皮脂を取り除きすぎてしまう場合もあるため、自分の肌に合うものを適切に選ぶことが重要です。
界面活性剤について知っておきたい5つのこと
1. 安全性はどうなの?界面活性剤は危険?
「界面活性剤が肌に悪い」という主張の根拠を調べてみると、化粧品ではほぼ使わないような洗浄力の強いものに対して毒性や刺激性を指摘しているケースが多く見受けられます。
また、石油系界面活性剤も悪者にされることが多いです。果たして本当にそうなのでしょうか。
界面活性剤には様々な種類・用途がある
結論からいうと、界面活性剤といっても種類によって性質や肌への負担が変わるので、単純に良し悪しで決められるものではありません。
肌に悪いもの入れるメリットがない
そもそも論として良い化粧品を作って使い続けてもらう方が遥かにビジネスになるはずです。情報化社会の現代であえて肌に悪いものを入れて売るメリットはほぼ皆無でしょう。
一般消費者が知っているような情報を化粧品メーカーの開発者が知らないわけがないですし、その道のプロならより深い知識も持っているはずです。
2. 「アミノ酸系=肌にやさしい」とは限らない
肌にやさしいイメージのある「アミノ酸系界面活性剤」ですが、その洗浄力には幅があり、一概に肌にやさしいとは限りません。
たとえば、クレンジングや洗顔料、シャンプー。肌への負担は確かにマイルドかもしれませんが、洗浄力が弱いと汚れが落ちにくくなるというデメリットがあります。
そうなると毛穴に皮脂が詰まってニキビの原因になったり、頭皮環境が悪化して抜け毛などのトラブルが起きる場合もあるわけです。
化粧品は肌へのやさしさが全てじゃない
つまり洗浄力がやさしいことが必ずしも肌に良いとは限らないということ。
汚れを落とすためにゴシゴシ擦れば、摩擦によって肌に小さな炎症が起きたり、洗浄剤が長時間に肌に乗っていれば刺激にもなります。
成分だけを見て肌の良し悪しを決めるのはナンセンス。むしろ重要なのは配合量や組み合わせなのです。
3. 「石油系」は肌にいい?悪い?
結論からいうと、石油系だからといって怯える必要は全くありません。
確かに昔は精製技術の観点から不純物が含まれていたようですが、現在は不純物は含まれていないので、安心安全に使うことができます。
重要なのは配合量と組み合わせ
石油系界面活性剤は、脱脂力が強いものが多い事実はあるものの、一括りにして「肌に悪い」と決めつけるのは乱暴な主張と言わざるを得ません。
なぜなら、配合量や他の界面活性剤との組み合わせ次第で界面活性剤の総配合量を減らすことができ、結果として肌への負担を最小限に抑えることができるからです。
4. 本当に危険な成分は「ポジティブリスト」と「ネガティブリスト」でチェック!
ここまで界面活性剤の真実について、色々とお話してきましたが、「結局、何が安全で何が危険なの?」という疑問をお持ちだと思います。
化粧品の原料は、国が配合量を規制しており、配合できない成分(ネガティブリスト)・配合できる成分(ポジティブリスト)を示しています。
- ネガティブリスト:化粧品に配合してはいけないリスト
- ポジティブリスト:使用可能な成分のみを示したリスト
このように日本で販売されている化粧品であれば、一定の安全基準が設けられているため、神経質になる必要はありません。
ただし、人の肌質は千差万別。化粧品の使用前後の肌状態をよく観察し、成分の合う・合わないを知っておくことが大切です。
5. 界面活性剤の種類・用途を知っておこう
繰り返しになりますが、界面活性剤にはさまざまな種類や性質があるため、「界面活性剤は◯◯です」と一言で片付けることができないのが実際のところです。
下記に界面活性剤の種類や特徴、どんな用途で使われるのかをまとめた一覧を作ってみました。
専門用語がやや多いので、わかりづらいかもしれませんが、界面活性剤にはそれぞれ異なる種類や性質があること、それによって用途も多岐にわたることを知っておくだけでも大丈夫です。
たとえば、洗顔料とボディソープでは使われる界面活性剤の種類、配合量、組み合わせが違うわけです。
何より皆さんが普段使っている化粧品は、化粧品研究者さんたちの手によって安心安全に作られていることも忘れずに。
まとめ:界面活性剤を正しく知りコスメを楽しもう
界面活性剤は、化粧品づくりにおいて欠かせない基本成分の一つです。
専門的でやや難しい内容ではあるものの、原理原則を正しく理解することでコスメ選びの幅をぐっと広げてくれます。
そのためには、自分の肌のプロになること。そして間違った情報に惑わされず、信頼できる情報源を見て、比較・検討してみましょう。