化粧品のラベルでよく目にする「無香料」という表示。
「肌によさそう」というイメージから何となく選んでいる人も多いのではないでしょうか。
無香料とは、単に香りがないことを示すだけでなく、肌への影響や製品選びにおいて一つの基準になります。
本記事では、無香料の意味や無香料化粧品のメリット、デメリットなどをわかりやすく解説します。
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無香料とは?化粧品の表示ルール
無香料の定義とは?
無香料とは、化粧品に「香料」が配合されていないことを意味します。
「無香料」という表示を見たとき、多くの人は「完全に香りがない化粧品」と考えるかもしれませんが、実際には無香料の化粧品にも、原料由来の香りが感じられることがあります。
たとえば、天然の植物エキスや精油などです。つまり、全く香りがない(無臭である)という意味ではないので、注意しましょう。
日本の化粧品における無香料表示の基準
日本では、化粧品の成分表示は薬機法(旧・薬事法)によって規定されており、「無香料」と表示できる条件が決まっています。
- 「香料」としての成分が配合されていない場合に限り、「無香料」と表示可能
- 原料の香りが残っている場合でも、「無香料」と表記することが可能
- 香りを抑えるための成分(マスキング剤)が使用されることがある
つまり、「無香料=完全に無臭」ではなく、「人工的な香料を添加していない」ことを意味するという点を理解しておくことが大切です。
海外における無香料表示の違い
国や地域によって「無香料(Fragrance-free)」の基準が異なることもあります。
アメリカ(FDAの基準)
- 「Fragrance-free(無香料)」は、香料としての成分が含まれていないことを示す
- ただし、香りを抑えるための成分(マスキング剤)が含まれることもある
ヨーロッパ(EU化粧品規則)
- 「Fragrance-free」は香料を添加していない化粧品を指す。
- EUではアレルゲン成分として指定される香料成分(例:リモネン、リナロール)を含む場合、成分表に明記する義務がある
無香料化粧品は本当に安全?
香料は、肌への刺激やアレルギー反応を引き起こす可能性がある成分の一つです。そのため、無香料の化粧品は敏感肌の人や肌トラブルが起こりやすい人に適しているといわれています。
しかし、「無香料=肌に優しい」とは限りません。香料を使用しない代わりに、防腐剤やアルコールなどの成分が増えることがあるため、成分表をしっかり確認することが大切です。
まとめ
- 無香料とは、人工的な香料を含まない化粧品のことを指す
- 原材料自体の香りが残ることがあるが、それでも「無香料」と表示可能
- 国や地域によって「無香料」の基準が異なるため、海外製品を購入する際は注意が必要
- 無香料化粧品は敏感肌に向いているが、その他の成分(防腐剤・アルコールなど)にも注意が必要
無香料化粧品のメリット
無香料化粧品には、肌に優しい、香害を避けられるなどのメリットがあります。ここでは、その具体的なメリットについて詳しく解説します。
メリット①:肌への刺激が少ない
香料は肌に刺激を与える成分の一つとされており、特に敏感肌やアレルギー体質の方は注意が必要です。
無香料化粧品は、香料による肌トラブルのリスクを減らすため、肌が弱い人に適しているとされています。
メリット②:香害のリスクを軽減できる
香料が強い化粧品は、周囲の人に不快感を与えることがあります。
特に職場や公共の場で香りを控えたい人にとって、無香料化粧品は安心して使用できる選択肢になります。
メリット③:香りの好みに左右されずに使用できる
化粧品の香りは個人の好みによる部分が大きく、香りの強い製品は好き嫌いが分かれやすいものです。
無香料化粧品であれば、香りの好みを気にせず誰でも使いやすいのが特徴です。
メリット④:スキンケアの成分を純粋に実感できる
香料が含まれていると、スキンケアの成分そのものの効果を実感しにくいことがあります。
無香料化粧品なら、成分本来の作用をダイレクトに感じられるため、化粧品の機能をより深く理解できるメリットがあります。
無香料化粧品のデメリットと注意点
無香料化粧品には多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。購入前にしっかりと理解し、適切に選ぶことが重要です。
「無香料=無臭」ではない
無香料化粧品でも、原料そのものの香りが残ることがあります。
特に植物由来の成分やオイルが含まれている場合、独特の香りを感じることがあります。
そのため、無香料だからといって完全に無臭とは限らない点を理解しておく必要があります。
防腐剤やアルコールが多く含まれる場合がある
香料には製品の酸化や劣化を防ぐ役割もあります。そのため、無香料化粧品では香料の代わりに防腐剤やアルコールが多めに配合されることがあるため、敏感肌の人は特に成分をチェックすることが大切です。
香りで品質の変化に気づきにくい
香料が含まれていると、製品の変質や酸化の兆候を香りで判断しやすいですが、無香料の化粧品では変化に気づきにくいことがあります。
使用期限を守ることや、色やテクスチャーの変化を注意深く観察することが重要です。
無香料化粧品の選び方
無香料化粧品を選ぶ際には、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
成分表示を確認する
無香料化粧品を選ぶ際には、「香料不使用」だけでなく、防腐剤やアルコールの有無をチェックすることが大切です。
特に敏感肌の方は、刺激の少ない成分を選ぶのがおすすめです。
肌質に合った製品を選ぶ
自分の肌質に合った化粧品を選ぶことが重要です。敏感肌の方は「低刺激処方」や「アルコールフリー」などの表記を確認しましょう。
試供品・サンプルなどで試す
購入前にサンプルやテスターを使用し、実際に肌に合うか確認することをおすすめします。
無香料化粧品のおすすめシーン
無香料化粧品はさまざまなシチュエーションで活用できます。
敏感肌のスキンケア
肌がデリケートな方にとって、無香料化粧品は刺激を避けるための有効な選択肢です。
職場や公共の場
香りを抑えたい環境でも安心して使用できます。
妊娠中や赤ちゃんのスキンケア
香料が気になる方や、赤ちゃんの肌に優しいケアを求める場合に適しています。
香水やフレグランスと併用したいとき
無香料化粧品なら、香水の香りを邪魔せずにスキンケアができます。
無香料化粧品のまとめ
無香料化粧品は、肌への刺激を減らし、香害を防ぎ、スキンケア成分を純粋に感じられるといった多くのメリットがあります。
一方で、完全に無臭ではないことや、防腐剤・アルコールの影響があることにも注意が必要です。
無香料化粧品を選ぶ際のポイント
- 成分表示をチェックし、防腐剤やアルコールの有無を確認する
- 自分の肌質に合った製品を選ぶ(敏感肌向け、低刺激処方など)
- サンプルや試供品で使用感を試し、肌に合うか確認する
- 使用期限を守り、品質の変化に注意する
無香料化粧品は、特に敏感肌の方や香りに敏感な方にとって、安心して使用できるスキンケアアイテムの一つです。
正しい知識を持ち、自分に合った製品を選ぶことで、より快適なスキンケアを実現しましょう。
本記事は、以下の文献を参考に執筆をしています。
参考文献
化粧品等の適正広告ガイドライン
https://www.jcia.org/user/common/download/business/advertising/JCIA20200615_ADguide.pdf
化粧品に関する薬機法「無添加」「フリー」表現の注意点
https://beaker.media/blogs/yakki-cosmetics-free-expression
日本香粧品学会誌 Vol. 42, No. 2, pp. 109–124 (2018)「化粧品の種類と使い方」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/42/2/42_420215/_pdf
薬事法ドットコム「【薬機法】化粧品・コスメ広告のチェックポイント」
周知慣用技術集 香料 第3部 香粧品用香料「香粧品用香料の用途別特性」
https://www.jffma-jp.org/wp/wp-content/themes/jffma/img/profile/overview/ct_part03_09.pdf
独立行政法人 製品評価技術基盤機構「身の回りの製品に含まれる化学物質シリーズ 化粧品」
https://www.nite.go.jp/data/000103622.pdf
日本化粧品1級対策テキスト コスメの教科書 第3版(日本化粧品検定協会・著、主婦の友社)