精神科医がすすめる「完璧主義」との向き合い方とは?

あなたは完璧主義と聞いて、どんなイメージを持っているでしょうか。

おそらく、完璧主義に憧れのようなものを抱いている人にとっては

「何事もそつなくこなす人」
「文句一つ言わず、ひたむきに努力している姿がカッコいい」
「精神的に強く、どんな逆境にも負けない」

などスーパーマンのような人だと思っているも少なくありません。

しかし、実際に完璧主義の人に聞いてみるとイメージと現実にかなりギャップがあるのです。

「物事を先延ばしにしてしまう」
「妥協できないゆえに時間がかかってしまう」
「いつも周囲の評価が気になってしまう」

など完璧主義をやめたいと考えている人は意外に多いものです。

実は僕も以前、典型的な完璧主義者でした。得することよりも損することの方が多く、よく悩んでいました。克服するために何十冊もの関連書籍を読みましたが、すぐに直ることはありませんでした。

それでも、本に書かれたアドバイスを実践しながら自分なりに「完璧主義の在り方」を考えていくうちに自分に一番合う方法がわかってきたのです。

完璧主義を克服するうえで一番大切なのは「無理に直そうとせず、仲良くなること」です。完璧主義にも実はいい面があります。そのポジティブ面を生かしてあげる考え方を身につけることが一番楽なのではないかと僕は考えています。

その具体的な方法が書かれた良本『プレッシャーに負けない方法 「できるだけ完璧主義」のすすめ』(水島広子著・さくら舎)をご紹介したいと思います。

完璧主義のままで生きていくという考え方

完璧主義者は「頑固者」が多く(僕もそうなのですが笑)、直せと言われても自分の意思が邪魔をしてなかなか直らない傾向にあります。

それに加えて自分でわかっていることを人から指摘されることをとても嫌うので、人に相談できずに一人で悩んでしまうというジレンマを抱えがちです。

この本はそんな人のためにピッタリ。僕が最初にこの本を読んだときの率直な感想は「完璧主義のことをよくご存知だな」ということ。

著者である水島広子さんは精神科医・医学博士でいらっしゃり、きっと多くの患者さんの相談を受けてきたのだと思います。

「完璧主義と上手に付き合っていきましょう」という考え方は、すっと内容が入ってきて非常にタメになります。

20点の中から見つける「自分のベスト」

完璧主義者は自分に厳しい人が多く、出来栄えを点数で聞くとほとんどの人が20点、30点など落第点をつけます。

僕も自己評価で合格点を付けたことがないくらい、常に理想を高く持って物事に取り組んでいました。そして80点や70点の悪いところばかりに目がついてしまい、落ち込むのがサイクルだったのです。

そんなとき僕が試してみたのが「振り返り」です。一日の終わりに勉強や仕事の振り返りを紙とペンで行うというもの。

文字に起こすことで頭の中が整理され、「モヤモヤ」が嘘みたいにすっと消えます。そして大切なのは、ポジティブなことに目を向けること。

例えば自己評価が20点だとしたら、「20点の何が良かったのか」を振り返ります。すると悪いなりのベストが可視化され、自分でも見落としていた収穫に気付かされます。

本書でも重要なのは、ネガティブなことよりもポジティブなことに目を向ける努力が大切だというメッセージが数多く散りばめられています。

自分を正しく評価できるのは、自分しかいないということを忘れずに、ポジティブな面と向き合う努力もしてみてはいかがでしょうか。

できたら心が軽くなる「自分を許す」ことの大切さ

完璧主義者の悩みの一つとして、できない自分を責めてしまうことがあります。

求めるハードルが高いあまり、理想と現実のギャップに苦しみ、できない自分に失望をして「自分はダメな人間だ」と思い込み、次へ進むことができないという悪循環に陥りやすいのです。

その状況を打破するためにはどうしたら良いのか。本書では次のように紹介しています。

絶対的な完璧などというものはあるわけがなく、それぞれが」、与えられた条件の中でベストを尽くしていくしかないのです。(中略)傷ついた直後は自分をいたわることが「ベストを尽くす」ことになります。

完璧主義者は常に「完璧」を求めて物事に取り組むわけですが、どんな天才でも常に100パーセントの状態を維持することは難しい。

あの走攻守三拍子揃った、完璧を絵に描いたような元メジャーリーガー・イチローさんだって、ヒットが出なかった日はたくさんあります。

もし、イチローさんが調子が悪いのことをいつまでも引きずっていたら、きっと日米通算4367安打、シーズン最多262安打など数々の大記録を打ち立てることはできなかったでしょう。

僕自身、自分を大切にする意識が持てるようになってから、毎日がとても生きやすくなりました。失敗しても「まぁ、いいか」と自分をいたわる勇気をもつことが「できるだけ完璧主義」でいるコツなのではないかと思います。

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