こんにちは。メンズ美容家のEBATOです。
日々の生活の中で、誰かを褒めるシーンは多いと思います。
子どもがお手伝いをしてくれたときや部下がいい仕事をしたとき、パートナーを褒めるときもあるでしょう。
そんなとき、あなたは相手のどんなところを褒めていますか?
普段何気なくやっている「褒める」という行為は、実は想像以上に相手の人間性に大きな影響を与えているかもしれません。
そこで今回は、心理カウンセラーの資格も持つ僕が、「相手をやる気を引き出す褒め方」をご紹介します。
・アメとムチの正しい使い方
・本当に褒めるべきたった一つのポイント

「褒めて伸ばす」は本当に正しいのか?
教育関係の本を読むと必ず「褒めて伸ばしましょう」というフレーズが書いてあります。
特に現代の教育現場や職場では叱ることはタブーとされるような風潮さえ感じることも多いのではないでしょうか。
確かに褒めるという方法は、相手の才能を伸ばしたり、円滑な人間関係を築くには必要なことのように思えます。
ですが、褒めることが必ずしもいいこととは限りません。具体的に言うと、3つのリスクがあります。
- 人間関係が壊れる
- 相手が失敗恐怖症になる
- 自立性が失われる
その理由を一つずつ順番にお話していきます。
褒めると人間関係で悩むかもしれない
たとえば、仕事で結果を出した部下に「◯◯君、よく頑張った」「すごいじゃないか」と上司が褒めたとします。
一見、正しい行動のように思えますが、果たして本当にそうなのでしょうか?
このとき、部下はこんな心理状態になっている傾向にあります。
- ◯◯さんは頑張れば褒めてくれる
- 次も褒めてもらえるように頑張ろう
- 期待に応えてもっと褒めてもらおう
つまり、相手は「結果がよければ褒めてもらえる」という期待をするようになるわけです。
それと同時に結果に対して褒めると「褒める・褒められる関係」が成り立ちます。褒めることは評価の一つであり、目上の人から目下の人への行為です。いわば、上下関係です。
しかし、ここに落とし穴が……。
まず一度褒めると、褒め続けなければならなくなるということ。もし、相手が結果を出しても褒めないと「努力したのに報酬をもらえなかった」という心理が働き、あなたの評価や信頼が下がるのです。
つまり、目的が褒められることになってしまい、依存性を高めてしまうわけですね。
ただ、ここで褒め続けてしまうとさらに泥沼化してしまうかもしれません。いつも同じような言葉ばかりで褒めていると、相手は慣れて満足を得られらなくなるからです。
「いつも同じことしか言わない」「自分は正当に評価されていないんじゃないか」と不信感を抱かれてしまうことも。
すると相手は、「褒められないならやる気が出ないような心理状態」になり、互いに支配の関係へと発展していくこともあるのです。
こんな人間関係で悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
「失敗するのが怖い」は褒めた結果
挑戦しないことが良いか悪いかは別として、失敗を恐れる人が多いのは「褒める教育」の結果なのかもしれません。
それを裏付けるような、おもしろい実験をご紹介します。
1990年代にコロンビア大学によって行われた実験なのですが、10~12歳の子ども約400人を対象に知能テストを受けてもらいました。
試験終了後、採点を行いますが、実際の成績は公表しません。その代わり個別に「あなたの成績は100点満点中80点です」と全員に伝えます。
そしてテストを受けた子どもたちは3つのグループに分けられ、成績とは別にそれぞれ別のコメントも添えます。
- グループ①:「頭がいいんだね」と褒める
- グループ②:「努力したんだね」と褒める
- グループ③:ノーコメント
全員に成績とコメントを伝えた後、実験者はさらに2つの課題を与え、どちらか1を選んでもらうことをしました。
ひとつは難易度がちょいムズのもの、そしてもう一つは簡単でサクサク解ける問題です。
さて、一体どれくらいの子どもがちょいムズの問題を選んだと思いますか?結果は次のとおり。
- 「頭がいい」と褒めたグループ……35%
- 「努力した」と褒めたグループ……90%
- ノーコメントのグループ……55%
同じ褒めることをしたにも関わらず、「頭がいい」といった能力的なことを評価された子どもたちは最も挑戦したがらず、反対に過程を褒めれた子どもたちは、挑戦意欲が増したという面白い結果になったのです。
実験者によると、能力を褒めれた子どもたちは、「頭がいい」という評価を失わないために簡単な問題を選んだのではないか?という指摘をしています。
つまり、褒めるという行為は相手の人間性に大きな影響を及ぼすともいえるわけです。
褒めるは必要なときだけ
いつも褒めていると、判断基準が「褒められるのか・褒められないのか」になってしまうリスクもあります。
何をするにしても、人の顔色を伺うようになってしまうというわけですね。僕はそれが結果として指示待ち人間を生んでいる原因なのかな?とさえ考えています。
褒めすぎることは、やはりリスクが生じることを覚えておいて損はないでしょう。
褒めるときは創意工夫を褒める
実際に褒めるときは、相手の能力や結果を褒めるよりも、工夫やプロセスを褒めた方がいいことがおわかりいただけたかと思います。
「頭がいい」は一見すると、その人の特性を褒めているかのように思えますが、該当する人は多く、どこか表面的な褒め方のように思えます。
対して工夫を褒めるには、「相手がどうしてその考えをしたのか?」「どんなプロセスでその結論に至ったのか?」など相手を知ろうとしなければできないこと。
褒められる側としても、その方が「自分のことをよく見てくれている」と感じ、信頼関係も築きやすくなるはずです。
しかも工夫を伝える行為は、褒める・褒められるのような上下関係である必要はないため、あくまでフラットな立場で行えるという点も大きいでしょう。
形に残すと効果がアップ
「相手のおかげで本当に助かった」「あいつがいたから窮地を乗り越えた」といった最高の賛辞を伝えたいときは、形として残すと相手から喜ばれます。
一言直筆でメッセージを書くのもいいですし、LINEやメールで伝えるのでも構いません。形に残すことで、相手は見返すことができ、相手のモチベーション維持にも繋がるからです。
人は何かしてもらったら返そうという心理が働きますから、感謝が次の感謝を生み、相乗効果も生まれます。
褒め方に悩んでいる人におすすめの本
褒め方をさらに学びたいという人のために、おすすめの本をご紹介します。
いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング
言い方ひとつで持たれる印象が全く変わるんだと気付かされる一冊です。ビジネスシーンでも使えるノウハウがぎっしり。
空気を読む脳
今、めちゃくちゃ売れている本です。手に入るまで1~2週間かかりました……。
結果を引き出す 大人のほめ言葉
褒め方や叱り方で悩んでいる人がとりあえず読むべき本です。
まとめ:褒め方ひとつで人生は変る
「褒めて伸ばす」は簡単なことのように見えて、実は自分の知らないところで相手にさまざまな影響を与えます。
ですから、表面的なことばかり褒めるのではなく、相手に興味を持って真摯に向き合うことが大切なのです。つまり、褒める側は責任を持って褒めなければならないということ。
ぜひ、褒め方で悩んでいる人は参考にしていただけたら幸いです。