伝えようとするほど伝わらない?出世する人の「伝え方」とは





自分の話を、相手に分かってもらうためにはどうしたらいいでしょう?

話が伝わらない、言いたいことが伝わらないと、悩む人は少なくありません。会議やプレゼンテーション、企画書、報告書、電話、手紙、メール、SNSなど、人と何かしらのコミュニケーションをとる機会は増えるばかり。コミュニケーション能力は、現代のビジネスパーソンにますます問われる時代です。

「あの人の話はどうして説得力があるんだろう」「わかりやすい報告書って何が違うの?」そこには必ず共通する伝え方のルールがあります。このルールさえ身につければ、誰でも「伝える力」高めることができるのです。

頭がいい人の伝え方とは?

話し上手、説明が上手い人が心得ていることは「深い理解力」です。そもそも、自分がよく分かっていないことを相手に伝えようとしてもシドロモドロになったり、辻褄が合わなくなったり……そんな話をされても理解できるはずがありません。

説明が苦手、自分の意見がまとめられないという人は、どこかしらに「わからない」が潜んでいるパターンが多くあります。物事の理解を深めるためには

  • 「アンテナ力」
  • 「インプット力」
  • 「アウトプット力」

が必要です。

アンテナ力とは、情報収集する力のことです。人は関心があるもの、興味を持っていることには目を向けようとしますが、興味のないこと、理解ができていない情報などは取ろうとしません。それが脳の仕組みだからです。でもそれはとても勿体ないこと。キャッチし損ねている情報にこそ、理解力を深めるヒントがあるのですから。

情報が溢れすぎている現代で生活をしている私たちですが、「そもそも自分が欲しい情報とは何か」をよく理解できていないビジネスパーソンは少なくありません。情報をキャッチするには準備が必要になります。

例えば、あなたが新しいWebコンテンツの提案書を取引先に出すことになったとしましょう。いきなり作れと言われても、どこかで聞いたことがあるようなものしか浮かんでこず、真新しさのないものに仕上がってしまうかもしれませんよね。

ですが、前もって「Webサイトの問題点」「ユーザーの関心」「流行の傾向」など日頃から欲しい情報を集めることができていれば、面白いアイディアが出てくるはずです。

自分が欲しい情報が何かをあらかじめ明確化しておくとで、不思議とその情報があなたのアンテナに引っかかり、キャッチできるようになるのです。

インプット力を磨きたいなら片付け名人になれ

相手に理解してもらうためには、情報を自分の知識として整理をする力が求められます。これを「インプット力」と呼ぶことにします。

突然ですが、あなたが小学生に対して、日銀とは何か説明できますか。本やネットで調べると次のように書かれています。

「日本銀行とは日本の中央銀行のことで日本唯一の「銀行券」を発券し、通貨および金融の調整を行い、金融機関および政府に対する貸し出しなど業務とする日本銀行法により定められている認可法人である……」

といった得た情報だけを、ただツラツラと語っても誰にも伝わりません。得た情報は、いわば脳に物(情報)がポンと増えた状態。そのまま知識だけを得たとしても、脳内は散らかる一方です。どこに何があるのかわからなくなり、いずれパンクするでしょう。

だから、情報はきちんと整理整頓をする必要があるのです。インプット力とは、得た情報をしかるべき場所へ片付けていつでも取り出せるようにしておく「脳の片付け」のようなもの。説明が上手い人は、脳内の片付け名人の人が多いといえます。

アウトプットの基本は「ワンメッセージ」

そもそも相手に伝える目的とは、何でしょうか?伝えるのが苦手という人の多くは、「目的」を見失いがちです。企画書を通したいなら目的となるのは「上司の心を動かす」ことですし、気になる女性を口説くゴールは「自分を好きになってもらう」ことですよね。

伝えることで一番大切なのは「自分の言いたいことをいう」のではなく、「相手にどんなアクションをしてほしいのか」という点にフォーカスすること。そして一番に伝えたいメッセージを一点絞ることで、より伝わりやすくなるのです。

伝わらない説明をする人の多くは、100%と伝えようと、あれもこれと情報を出そうとします。これは僕の失敗談ですが、美容部員の駆け出しだったころ、お客様から「私に似合うファンデーションを選んでもらえますか?」と言われました。お客様の肌悩みを聞いてカウンセリングをしたところまではよかったのですが、数種類のファンデーションを取り出してきた僕は、「乾燥肌には◯◯成分が入っていファンデーションがおすすめです。このファンデーションには……」と商品の説明をし始めてしまったのです。

お客様は困惑し、最後には「結局、どれがいいんですか?」といわれる始末。結局、そのお客様は何も買わずに帰ってしまいました。もし、あの場面で「お客様の肌悩みでしたら、こちらファンデーションがおすすめです。」とだけ言っていたら結果は違ったかもしれません。

伝えるべきことをかみ砕いてシンプルにまとめて、そこから相手に合わせて情報をコントロールする。ときには説明しない勇気を持つことも重要なのです。

ぜひトライしてみてください。